メキシコってどんな所?
そまちひろさんが1ヶ月滞在したメキシコを紹介します。

メキシコ人は抗生物質が大好き

2016/04/25

「あなたがカゼをひいたら、通常の友人であれば蜂蜜しょうが入りのお茶を作ってくれる。メキシコ人の友人は、抗生物質をくれる」というジョークを聞いたことがあります。これはあながちジョークではなくて、メキシコ人の抗生物質信仰はかなり行き過ぎた感があります。

そもそも通常のカゼで抗生物質を処方するような医者はいないはずですが、2012年までは、医師の処方箋なしでも誰でも抗生物質を買うことができたとか。現在は法律が変わり、処方箋が必要にはなったのですが、抜け道はどこにでもあるもの。医師免許を持つ「コンサルタント」が常駐する薬局が増え、コンサルタントに頼めば簡単に抗生物質の処方箋がもらえるというわけ。

ということで、わたしのメキシコ人の友人もカゼをひいたと言っては抗生物質、胃の調子が悪いと言っては抗生物質、といったありさまです。胃の調子が悪いときに抗生物質飲むなんて、わたしの知識からすればまるっきり逆効果なのですが、「炎症起きてるからって医者に処方されたんだから、大丈夫」と聞く耳持ちません。

抗生物質を飲み過ぎると体内に耐性を持った強い菌が増えて、必要なときに薬が効かなくなるという怖い副作用があります。他人事ながらメキシコ人の体を案じてしまいます。

ただ、自分も病院に行くとなると、他人事ではありません。すぐに抗生物質を処方する医者に当たると、必要もないのに抗生物質を飲むハメになるからです。抗生物質はスペイン語で「アンティビオティコ」。この単語が出たら要注意です。本当に飲む必要があるのか、自分の病名が分かったら対処法をインターネットで検索してみるのもいいと思います。

わたしはこちらでひどい膀胱炎になり、かなり長期間抗生物質を呑み続けました。それ自体は的確な処方ですが、さすが抗生物質信仰の土地だけあって、メキシコの抗生物質は怖いくらい効きが良かったことを付け加えておきます。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。