メキシコってどんな所?
そまちひろさんが1ヶ月滞在したメキシコを紹介します。

昔ながらの買い物体験ができるメキシコ

2016/03/15

昔ながらの買い物体験ができるメキシコ

わたしが住んでいた街オアハカの中心部には、大きなスーパーはありません。ショッピングモールのWalmartが車で15分くらいの郊外にありますが、不便なので一度も行ったことがないです。

中心部にはまあまあの品揃えのスーパーがありますが、そこで買えないものもたくさんあります。そこで、多くの場合個人商店に行くことになります。

個人商店では、もちろん入店したら店主に挨拶して、ちょっとした世間話をするのが礼儀です。店主のいるカウンター内部に置いてあるものもたくさんあるので、その場合は何が欲しいのか説明する必要があります。店主が品物を取り出しても、もっと大きいのはないか、こういう色はないかと、いろいろやりとりして物色する必要があります。

また、何かちょっとしたものが食べたいなあというときでも、ひとことも話さずに入って食べて出る、なんてことができるファーストフードはありません。道ばたの屋台でスナックを買いたければ、やはり挨拶から始まり、値段を聞き、これは何、あれは何と質問して注文して、やっと食べられます。

初めのころは正直面倒だなあと、無言で何でも揃う日本のスーパーや、無言で食べられる牛丼屋が懐かしくなったりもしました。でも、最近ではスペイン語の勉強にもなるし、いろんな人と話せるチャンスだからいいじゃないかと前向きに考えるようになりました。

メキシコ人は親切なので、カウンターで商品の説明が上手くできずに困っていると、大抵見知らぬおばさん客が「何が欲しいのか」と声をかけてきます。と言っても別に英語が話せるわけではなく、わたしのつたないスペイン語を聞いて、それをスペイン語で店員に通訳するだけなので、多くの場合事態がよりややこしくなるだけなのですが(笑)、あたたかいなあとほっこりします。

わたしの外国人のパートナーが日本に住んでいたとき、日本語を頑張って勉強していたにも関わらず、使う機会が少ないせいで全然上達しない、とぼやいていました。それもやっぱり、日本では無言で何でも用が足りてしまうからでしょう。

メキシコの昔ながらの買い物体験は、地域に溶け込む貴重な機会だと思います。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。