メキシコってどんな所?
そまちひろさんが1ヶ月滞在したメキシコを紹介します。

家族が一番、仕事はまあほどほどに、なメキシコ人

2016/02/17

アジア地域の華々しい経済成長が報道されるようになって久しいですね。最近は中国だけでなく、東南アジアやインドなども、次のブーム国としてもてはやされています。

中国の人口13億人はまあ置いておいて、消費者人口規模で言うと、中南米だって負けていないはずなんです。というか、多くの中南米の国々は、東南アジア諸国に比べて平均年収など、よっぽど豊かなはずなんです。それなのに、「来る来る」と言われ続けながらさっぱり来ない中南米の経済成長ブーム。この違いはいったいどうしてなんでしょうか。

答えは簡単。中南米の人は、みんなあんまり働かないから(笑)どうしてあんまり働かないのかと言うと、家族と過ごす時間が大事だからのようです。

例えばお昼休みにしても、メキシコの人は2時間はお昼休みをとります。いわゆるラテン文化圏の「シエスタ」ですが、メキシコでは特にきっちりとる人が多いですね。子供の学校まで向かえに行って、昼食の支度をして、家でみんなで食べるとなると、確かに2時間あっても足りなそう。

最近印象深かったのが、近所のクリーニング屋さんに洗濯物を預けに行ったときのこと。朝一番で行ったのに、仕上がりが翌日の午後2時だと言われたので、「どうして?」と思わず聞いてしまいました。すると、その日はいとこか誰かの誕生日で、親戚一同で大きなパーティを開くから、準備のために早めに店を閉めるため、と言うのです。

理由に脱力してしまいましたが、優先順位が圧倒的に「家族>仕事」なのです。もうこれは価値観の違いとして諦めるしかありません。

アジア地域でも家族を大事にする傾向は強いですが、アジア地域が「お金を稼いで家族を幸せにする、そのために一生懸命働く」という考えなのに対して、メキシコを始めとする中南米では、「家族がいつも一緒に過ごせるのが幸せ、だから仕事はほどほどにしておく」という考え方なのです。

どちらがいいとも悪いとも言いませんが、おそらく中南米の経済ブームは永遠にやってこない気がします。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。