メキシコってどんな所?
そまちひろさんが1ヶ月滞在したメキシコを紹介します。

先住民文化と融合した、世にも不思議なカトリック教会

2016/03/28

男性の民族衣装が独特なことで有名

男性の民族衣装が独特なことで有名

メキシコ南部の町、サン・クリストバル・デ・ラス・カサスから乗り合いバンで30分ほどのところに、とても興味深いカトリック教会があります。

この教会がある町はサンホアン・チャムラ。サンクリストバルからは、クラフトマーケットの出る教会の北側にある乗り合いバン発着所から行けます。サンホアン・チャムラはツォツィルという先住民の村で、男性の民族衣装が独特なことで有名。

また日曜日には村の中心にある教会前に市場が出て、野菜から手作り工芸品まで、いろんなものが並んで楽しいです。そしてこの教会というのが、一見の価値ある摩訶不思議なもの。

カラフルな植物に囲まれた外観からして、通常のカトリック教会とはかなり異なっています。

カトリック教会

カトリック教会

教会内部は撮影禁止。中に入るとかなり暗いため、目が慣れるのに時間がかかります。暗さに慣れてきたら、天井を見上げてください。ワシ、ジャガー、ヘビなど、メキシコ先住民にとって重要な動物がいっぱいに描かれています。ヘビはキリスト教には嫌われる存在ですが、メキシコ先住民には神聖な存在としてあがめられてきました。

それから、床いっぱいに松の葉が敷き詰められているのに気がつくと思います。松の葉のいい香りが教会内に満ちていて、とても清冽な気分になります。

通常の教会では備え付けの椅子が並んでいますが、この教会にはそれがありません。床に敷かれた松の葉の上には、人々が座って祈りを捧げています。

人々はなぜかコカ・コーラをたくさん並べ、ろうそくに火を灯してお祈りしています。そして一番驚いたのが、お祈りしていたおばさんが袋の中からおもむろにニワトリを取り出して、ニワトリの喉元を切り裂き、血を松の葉の上に垂らしていたこと! 生け贄の意味なのでしょうが、キリスト教は生け贄信仰はありませんし、これもメキシコ先住民文化の影響なのでしょう。

それでも人々が祈る対象はイエスであり、聖母マリアなのです。キリスト教と先住民信仰が不思議なミックスをこの教会、サンクリストバルまで来たら是非足を伸ばして見てみてほしいです。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。