インドってどんな所?
インドに長期滞在したそまちひろさんが、現地の様子を紹介します。

とにかくカレーしかないインドで、カレーと戦う

2015/09/01

インドの食事で一番困るのが、とにかくカレーしかないこと。大都市や観光地などには欧米風レストランがあるのですが、そういったところばかりで食事していると、食費が高くつきます。(高いと言っても100円や200円の差なのですが)

インド人が行くような大衆食堂はとにかく安いですが、メニューを見ると「ホウレンソウのカレー、ひよこ豆のカレー、ブロッコリーとジャガイモのカレー炒め」…とにかくカレーしかありません。味付けはそれぞれ違うのですが、スパイスが効いていて汁状、ということには変わりなく、しばらくすると飽きがきて食事をするのが嫌になります。

インドではスナックを売る屋台も充実しており、サモサ(マッシュポテトを生地で包み、三角に揚げたもの)や、パコラ(野菜の天ぷら)などは、小腹が空いたときにちょうどいいのですが、これらもまんべんなくカレー味。

そこで、大衆食堂でも割りとよく見かけ、値段も安い焼きそばやチャーハンといった、中華料理風のものを注文してみるのですが、なんとこれもカレー味なのです。きっとカレーと同じスパイスを味付けに使っているんでしょう。それとも、いつもカレーを作るのと同じ調理器具で作るので、染み付いた味が移ってしまうのかもしれません。ああ、果てしなきカレー味との戦い。

一度、小腹が空いていたとき、ワダという米粉で作ったドーナツを屋台で買いました。これならカレー味じゃないだろう、と考えてのことです。けれど「持ち帰るか、この場で食べるか」と聞かれ、「ここで食べる」と言ったら、ワダをお皿の上に載せて、上からカレーをかけられました。「あっ、カレーいらない…」と叫びましたが、時すでに遅し。避けたかったカレー味を食べるハメになりました。

インド人に「毎日カレーばっかり食べてて、飽きないの?」と質問をぶつけてみましたが、質問の意図が分からないという顔をされた後、「飽きないよ。だって全部味違うし」と返されました。日本人のわたしからすると大した違いはないのですが、インド人にとっては微妙な違いが大事なんでしょうね。奥深いカレーの世界です。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。