インドってどんな所?
インドに長期滞在したそまちひろさんが、現地の様子を紹介します。

インド人と宗教の微妙なカンケイ

2015/10/14

インドの80%以上の人が信仰するヒンドゥー教

インドの80%以上の人が信仰するヒンドゥー教

インドの80%以上の人が信仰するヒンドゥー教。一番人気のシヴァ神はキレて自分の息子(ガネーシャ)の首をはねてしまうような神さまだし、奥さんを何人も持っていて、たまに奥さん同士が嫉妬して争って大災害を起こしたりと、かなりパンクな宗教です。人間くさいという点では、古代ギリシアの神さまたちに似ているかもしれません。

こんな何でもありの宗教なのに、戒律は意外と厳しいんです。まず、お酒を飲んではいけない。肉食(特に牛肉)してはいけない。カーストの違うもの同士で結婚してはいけない…などなど。

まずお酒についてですが、公には飲めないことになっています。インド人口の10%を占めるイスラム教徒もお酒は飲めないので、インドでお酒を手に入れるのは結構大変。でも、公には飲めないというだけで、男性はお酒を飲む人が多いです。特にインドの年中行事(ディワーリー、ホーリーなど)の際には、酔っ払ったインド人が大騒ぎしています。普段飲まないから、悪酔いするんですよね。しかも、ヒンドゥー教の神さまを祭る日にお酒を飲むなんて、本末転等じゃないかと思うのですが。

肉食については、カーストという社会身分の高い人ほど禁忌とされていて、カーストが下の人は鶏肉などは食べるよう。でも牛肉はかなり強いタブーで、これは、シヴァ神の乗り物がナンディという牛だから。でも都会に行くと、牛肉を出すレストランってそこそこあるんです。デリーでは美味しいビーフカレー、ダージリンではビーフケバブを食べました。多分イスラム教徒が牛肉を食べるからなんでしょうが、大多数がタブーとしているものを他の人が食べていても気にしないなんて、すごく大らかだなあと思います。

カーストが違うもの同士での結婚ですが、田舎ではまだまだ強いカーストの風習が残っていて、特に女の人が自分よりカーストの低い男性と結婚することは嫌がられます。でも最近はインド社会も流動化してきて、都会ではカーストにこだわらず就職したり結婚したりする若者も多いとか。カーストから抜け出すために、外国人と結婚したがる人(男性)も多いです。

戒律が厳しいながらも、全部ちゃんと守っているインド人なんてあんまりいないなあ…というのが、インドに通い続けて持った印象です。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。