インドってどんな所?
インドに長期滞在したそまちひろさんが、現地の様子を紹介します。

インド・ダラムサラでチベット仏教に触れる

2015/04/15

ナムギャル僧院

ナムギャル僧院

ダラムサラには現在ダライ・ラマの官邸があり、チベット亡命政府として機能しています。アッパー・ダラムサラと呼ばれるこの地域には、亡命チベット人の行政、信仰、歴史が集まっていると言ってもいいでしょう。官邸の隣には、チベット仏教ゲルク派の総本山、ナムギャル僧院が建っています。また、その近くには1951年の中国によるチベット侵攻と、その後チベットがたどった歴史を展示したチベット博物館もあります。

ダライ・ラマは講演活動などで世界中を飛び回っていることが多く、官邸にいらっしゃらないことがほとんどだそう。わたしがダラムサラにいた2010年9月には、たまたま在ダラムサラ中だったということで、官邸のまわりにはものものしい警備員がたくさん立っていました。

ナムギャル僧院は、モダンなコンクリート造りの外観。でも中に入ると、マニ車(大きな糸車のような形で、触って回すことで罪を清める)や、ろうそくに囲まれながら砂で曼荼羅絵を描く僧侶、カラフルにペイントされたチベット仏教の神像など、独特の世界観が広がっています。

ナムギャル僧院を出て、右手にある小道を入ったところにあるチベット博物館にも行ってみました。歴代ダライ・ラマについての説明や、チベット仏教の世界観、中国のチベット信仰などについて、主にパネル展示を通して知ることができます。

チベット博物館

チベット博物館

映画「リトル・ブッダ」でご存知の方もいるかもしれませんが、ダライ・ラマの地位は世襲制ではありません。先代のダライ・ラマの死後直後に、「しるし」のあった場所で生まれた子供から、次代のダライ・ラマが決まるのです。これはダライ・ラマに限ったことではなく、ダライ・ラマに次ぐ高僧とされるパンチェン・ラマ、それに次ぐカルマパも同じです。

ところが、ダライ・ラマ14世認定のパンチェン・ラマは、1995年に中国当局に誘拐されて行方不明なのです。パンチェン・ラマは次代のダライ・ラマ選定に関わる重要な高僧なので、チベット仏教界の懸念は大きいです。

などなど、インドにいながらにしてチベット仏教について学べるのも、ダラムサラならではです。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。