インドってどんな所?
インドに長期滞在したそまちひろさんが、現地の様子を紹介します。

お酒を飲むには絶大なエネルギーが必要

2015/06/30

ヒンドゥー教のインド人は(建前上)お酒を飲みません

ヒンドゥー教のインド人は(建前上)お酒を飲みません

ヒンドゥー教は飲酒を禁じているので、ヒンドゥー教のインド人は(建前上)お酒を飲みません。また、人口の10%以上を占めているイスラム教ももちろん飲酒は厳禁。そのうえ、ガンジス川から6キロ圏内、また聖地ではお酒を売れないという(建前上の)法律もあるため、お酒を飲もうと思うとかなり大変なのです。

わたしはアルコール依存症ではありませんが、暑い中ビールをごくごく飲むのも、パーティでわいわいワインを飲むのも大好き。飲めない日が1週間以上続くと、何となく落ち着かない気分になります。大抵のインドの町には、お目こぼし的にお酒を売っている店があるのですが、たまに真剣に禁酒を守っている町もあります。

北インドのリシケシもそのひとつ。町自体の居心地はいいので、お酒を飲むためだけに他の町に移動したくはありませんでした。そこで、友人たちと一緒に近くの町までお酒を買いにいくことに。ハリドワールとリシケシの間にある、酒類も肉類も何でも売っている町に行きました。

そこでわたしたちは巨大な駐車スペースがある、スーパーマーケット並みに大きい酒屋に入りました。入ると言っても、この酒屋はカウンターと客の間に鉄格子があり、鉄格子越しに販売員に欲しい酒と数量を言うと、販売員が商品を運んでくる仕組み。禁酒法時代のアメリカを思わせるものものしさで、ちょっと女子ひとりでは行けない雰囲気でした。

ところが、そんな女性禁制の園にひとりで行ってしまったのが、南インドのハンピに滞在しているとき。ここも禁酒が厳しい町で、中心部の4キロ先に酒屋が一軒あるのみ。自転車でその酒屋に行ってみると、暗い狭いバーの中に、酔っ払ったインド人男性が大勢たむろしている状態でした。思い切って足を踏み入れると、全員が話すのを止めてわたしを見つめ始めました。外国人女子がひとりでそんな場所に来るというのが本当に珍しかったのでしょう。うわ、これはやばいかもしれない、とびくびくでしたが、冷静を装ってビール大ビンを3本注文しました。袋を抱えて外に出ると、それはもう一目散に自転車に乗って退散しました。

今思うと、なんでそんな思いまでしてビールを飲みたかったんだろうと自分に呆れてしまいますが、飲めない状況になると余計飲みたくなるのが人情というものなんでしょうね。

関連記事
ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。