インドってどんな所?
インドに長期滞在したそまちひろさんが、現地の様子を紹介します。

賢くて危険なインドの猿たち

2015/09/09

賢くて危険なインドの猿

賢くて危険なインドの猿

牛、犬に次いでインドの路上でよく見かけるのが、猿。牛や犬はちょっかいを出さない限りこちらに害を与えてくることはありませんが、猿の場合はちょっとアグレッシブです。

インドでよく見かける猿には2種類あって、ひとつは顔が黒くて灰色の毛、長いしっぽを持ったタイプ。このタイプは大人しく、友好的な猿です。もうひとつが日本猿に似た、栗色の毛で赤ら顔のタイプで、このタイプが困りものなのです。

リシケシに長期で滞在していたときのこと。シャワーを浴びたり、ちょっと出かけていたりする一瞬のあいだに、部屋からクッキーやフルーツなどの食べ物が消える、という出来事が続きました。初めは、ゲストハウスの人が合鍵で入って食べ物を盗んだんだろうか、と物騒なことを想像しましたが、お金や貴重品は手付かずなので、それはないだろう…と不思議に思っていました。

その謎が解けたのはある日、外から帰って部屋のドアを開けたとき、部屋の中を物色している猿に遭遇したときです。普段ベランダに続くドアに鍵をかけていなかったので、猿が器用にドアノブを回して、ドアを開けて侵入していたんです。猿と目が合った瞬間、キーっとものすごい顔で威嚇されたので、怖くて思わず廊下に逃げてしまいました。

自分の部屋に入れないなんて不条理な…と思いながら、ゲストハウスのスタッフを呼び、ほうきで撃退してもらいました。その後ベランダのドアに鍵をかけるようにしたら、盗難被害はぱたりとなくなりました。

また、ダラムサラで、ダライ・ラマ公邸の隣の公会堂を見学していたときのこと。猿が一緒にいた友達ひとりに襲い掛かり、彼がデイパックのサイドポケットに入れていたチップスの袋を奪い取りました。食べ物がどんな見た目なのか、しっかり把握しているんです。猿は慣れた手つきで袋の口を開け、美味しそうにチップスを食べていました。

日本でもよく、観光地の猿に子供が襲われた話題なんかを聞きますが、インドの猿は一歩先を行く賢さのようです。

関連記事
ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。