インドってどんな所?
インドに長期滞在したそまちひろさんが、現地の様子を紹介します。

インドであってインドでない場所、秘境シッキムへ

2015/05/26

秘境シッキム

秘境シッキム

インドの東側に、ネパールとブータンに挟まれた突起のような部分がありますよね。そこがシッキム州です。ネパールとインドのあいだのヒマラヤ山脈に食い込むように位置するシッキムは、トレッカー垂涎の的。インド最高峰のカンチェンジュンガを間近に臨むことができます。

シッキム州は周辺国との長いあいだ係争地だったので、入境制限が厳しかった時期もありました。最近は状況が落ち着いているので、観光客でも簡単に入ることができます。ただし、入境許可証が必要なので、ダージリンなどであらかじめ取得する必要があります。

さて、ダージリンから乗り合いジープに乗り、まずは州都のガントクへ向かいました。辺境中の辺境の州都ということで、小さな村のようなものを予想していたのですが、来てみてびっくり、広い目抜き通りにはきらびやかなショップやレストランが並び、リゾート地のようでした。おそらく75%がネパール系という住民が、貧しさゆえにインド政府に反感を抱かないように、相当な補助金が出ている…これは単なる想像ですが、そういう理由があるのだと思います。

さて、ガントクで2泊したあと、ペリンという町へ北上しました。小さい町ですが、近年観光地化が進んでいて、道などはよく整備されています。ペリンからのカンチェンジュンガの眺めはシッキム一。その言葉通り、町のどこにいてもカンチェンジュンガが見えました。レストランで食事をしながら、買い物をしながら、どこへでもきらきら輝く白い峰が付いてきます。日常にこんな風景があるって、どういう気持ちなんだろうと不思議でした。美味しいものでも食べ続けると飽きるように、見慣れてしまうと感動しなくなるのか? 町の人に聞いてみればよかったと、今でも思います。

続けて、さらにカンチェンジュンガへ近づくため、乗り合いジープでヨクサムという村に北上しました。ここはまさにイメージ通りのシッキムというか、森と畑に囲まれた小さな村です。村の中心には舗装もされていない広場があり、レストランや宿が数件あるのみ。広場のレストランで村人が行き交うさまを眺めながら、のんびりとビールを飲んでいると、時代も場所も良く分からなくなるような錯覚に陥ったものでした。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。