インドってどんな所?
インドに長期滞在したそまちひろさんが、現地の様子を紹介します。

シーク教徒の聖地、アムリトサルの黄金寺院

2015/04/17

インド人と聞いて、どんな人の姿を思い浮かべますか?

インド人と聞いて、どんな人の姿を思い浮かべますか?

突然ですがみなさん、インド人と聞いて、どんな人の姿を思い浮かべますか? ひとくちにインド人と言っても、肌の色が濃い南インドのドラヴィダ系から、アーリア系の白人に近いような人、ネパール国境の地域だと東アジア系の顔つきなど、本当にいろんな容姿の人がいます。でも、ステレオタイプはやっぱり、大きなターバンを頭に巻き、ヒゲを生やしたインド人ではないでしょうか。インドのナショナルフラッグ、エア・インディアのマスコットキャラクターが、ちょうどそんな感じですね。

実はそのステレオタイプ、北インドのシーク教徒のイメージそのものなんです。シーク教徒とは、16世紀にグル・ナーナクを教祖としてインドで生まれた宗教。出家を否定し、職業をもって生きることを重んじる宗教のため、国内外をとわず成功しているシーク教徒も多いです。ニューヨークのタクシードライバーなんかが、その典型ですね。海外で活躍するシーク教徒のイメージが、そのままインド人のイメージになったというわけです。

そのシーク教の総本山、ハリマンディル寺院があるのが、アムリトサル。ハリマンディルは16世紀に建てられたときは普通の石造りでしたが、商売で成功したシーク教徒が寄進として金箔を貼り付けていったため、今では全体が金ぴかの寺院になっています。そのため、別名「黄金寺院」と呼ばれます。

寺院に入る際は、入り口で靴を脱がなければいけません。靴預け所があるので、そこで預かってもらいます。また、男女とわずスカーフや布で髪の毛を覆う必要があります。中に入ると、池の中央に陽光を浴びて輝く黄金寺院が。水に反射する姿も美しいです。大理石の床はモザイク模様で美しいのですが、特に日中は裸足では歩けないくらい熱いので、池を囲む屋根付の回廊を歩きます。

池の中央にある黄金寺院には、細い橋を渡って入ります。黄金寺院の中では、僧侶が熱心に聖典を朗読していて、その声はマイクを通して黄金寺院中に響き渡っています。イスラム教のコーランのような、歌うような調子の朗読は、何か心の奥深くを揺さぶるような、力強いものがあります。

インドの多様性をまた一面垣間見させてくれる、興味深い寺院です。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。