小説の書き方
「週刊小説」(現在廃刊)のショートストーリー賞に入賞したことのあるMUMUさんの小説の書き方・体験記を紹介します。

これから小説を書く人へのアドバイス

2012/10/05

経験こそが宝物

プロの作家になった場合は、出版社や編集者によって異なるかもしれませんが、自分の好きなテーマでは執筆できなくなります。漫画の世界でも、編集者が、作者に今度はこんなテーマで、つぎはこんなエピソードでと意見やアイディアを言ってくるそうです。それは小説でもおなじらしく、いろいろな小説家のエッセイ本や雑誌のインタビュー記事を読むかぎり、つぎはこんなテーマで書いてほしいという依頼で執筆することが多いそうです。どんなことであれ、仕事になれば楽しいばかりではできないものです。アマチュアだからこそ小説を書くのも音楽をするのも楽しいのであって、仕事になれば、それ相応のプレッシャーもあるでしょうし、責任もでてくるものです。締め切りもあります。

小説を書くのは趣味で書くのか、仕事にすることを目指すのかを決めておくのも大事だと思います。趣味にしろ仕事にしろ、「小説の書き方」の本はたくさんでていますから、まずはそうした本を読み、学ぶのがよいと思います。小説の基本として、視点の問題があります。一人称は、「私」がみているもの聞いているものしか書けないのです。「私」のみていないことを書いたらおかしな事になってしまいます。三人称、神の視点というものは、うえからみている視点みたいなもので、ある程度は自由に描く事ができますが、たとえばおなじ章などでひんぱんに視点がちがうキャラに移行するのもおかしいものとされています。

プロの作家になる。人気作家になるための本もでています。どの本でも推奨されている事は、できるだけ多くの小説や本を読む事です。私はそれにつけ加えてさまざまな経験を重ねる事だと思っています。息の長い作家をみていますと、経験豊富な方が多いように思います。星新一は、父が人の借金の保証人になり、それが原因で星製薬という会社が倒産して、毎日のように借金取りなどが家にやってきていろいろと苦労をされてきたそうです。若い作家の方で大きな賞をとられても、あとが続かないことが多いように思うのは、実際の経験が少なく、心の引き出しにしまっておいた経験、読書した本、みてきた映画やテレビなどをみてきた蓄積も少ないからのように思います。さまざまな経験をしていると、ストーリーにもリアリティがにじみでて、なにか迫ってくるものがあるのではないかと思うのです。どんな経験でも無駄ではないと思います。どんな業界であれ、経験こそがあとで宝になるのだと思っています。

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ライタープロフィール

MUMUさん/男性/年齢:50代/新潟県在住/神社が好きで日本各地をまわっています。趣味でボーカロイドでの音楽作りやギターでオリジナルの歌をつくり、ときどきライブもしています。自分らしく生きることをモットーにしています。