図書館司書の仕事体験記
40歳過ぎて資格を取得し図書館司書で仕事をした体験記を紹介します。

仕事上のトラブルとクレーム

2011/11/07

リクエストというのは、利用者のための本の予約システムです。読みたい本があるのに図書館にない場合、または貸し出し中だという場合などが、よくあります。そんなとき利用者は、リクエスト用紙に記入をして、カウンターに提出をします。

その用紙の内容を、図書館司書がサーバーに入力しておきます。すると予約本が納入されたり返却されたとき、その本のバーコードをなぞると、予約待ちの人がいるというメッセージがパソコンに表示されるのです。そんなリクエスト業務でのトラブルが、図書館ではかなり多くありました。

「沈まぬ太陽」という、ベストセラー本がありました。大ヒットした本で、映画にもドラマにもなりました。その本は5巻までありました。勿論5巻でひとつのストーリーですから、1巻から順に読まなければ意味がありませんでした。

その5巻全ての1冊ずつに、何十人というリクエストがかかりました。その本を読みたいと思っている人が、一度に5冊の本のリクエスト用紙に記入したのです。

上手い具合に1巻から順に返却されれば良いのですが、そういう訳にはいきませんでした。2巻が最初に返却されて、司書がその連絡を利用者にしてしまいました。

利用者は楽しみに待っていた本が返却されたとしか考えずに、図書館のカウンターにやってきました。そしてそのとき初めて、それが2巻だと気付いたのでした。

この図書館では5巻ある物語は2巻から読むのかと、利用者はクレームをつけました。利用者の貸出履歴を見ればすぐに分かったことなのですが、それまでそのような事例は全くありませんでした。しかも同じようなことが、2人3人と続きました。

トラブルがトラブルを呼び、その日一日司書全員が利用者に謝り続けました。結局、新規に1巻を5冊追加購入することで、その問題は解決しました。しかし図書館司書としてのレベルが問われると、緊急会議を開きました。

後になり、同じトラブルが全国の図書館でもかなりあったことを知りました。しかしそれを事前に予測できなかったことは、図書館司書としてまだまだ未熟なのだと感じました。

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ライタープロフィール

キイチロウ/男性/50代/福井県在住/ごく普通の仕事をしていて、ごく普通の考え方をする、ごく普通の趣味を持った、ごく普通の外見の人間です。ただ他の人よりも少しだけ、人間ウォッチングに優れていると自分では思っています。