図書館司書の仕事体験記
40歳過ぎて資格を取得し図書館司書で仕事をした体験記を紹介します。

仕事を始める前の不安

2011/10/26

新しい仕事を始める前には、誰にも不安があります。多少の知識だけで、全く経験のない自分にどれだけやれるのかという不安です。しかし図書館司書になった私の場合、そんな不安とはまったく別のところに心配がありました。

それはカウンター業務でした。カウンターに座った自分が、常に周囲から見られるという不安でした。勿論それだけではなく、知識面や経験面での不安も多くありました。しかし仕事を始める前に私が不安だと思ったのは、やはりカウンターに座ることでした。

私の中の図書館司書の主な仕事というのは、図書や雑誌の分類と整理でした。常に整然とした書棚を維持しながら、利用者の要望に即座に対応できる管理をすることでした。

細かな分類をして確実に把握することが、図書館司書の仕事の中で私は一番重要だと考えていました。しかしいくらそんな管理をしたところで、実際にそれを生かせるのはカウンター業務だということも、自分ではよく理解していました。理解していながらも、私はカウンターに座ることが不安でした。

図書館司書の仕事には、多くの業務があります。まず初めに図書や雑誌を発注します。そしてそれらが届いたら、1冊1冊のデータを図書館システムサーバーに入力します。分類表示のシールなどを貼りコーティングをして、ようやく書棚に並べます。

ほかにも図書や雑誌の予約業務や、分からない質問に回答する参考業務など様々な業務があります。そしてそれら全ての窓口となるのが、カウンター業務なのです。要するにカウンター業務は、図書館司書の中で一番大切な仕事でした。それだから私は、カウンターに座ることに不安があったのかもしれません。

利用者の視線を一身に受けるカウンターで業務がこなせれば、図書館司書としては一人前です。誰からどんな質問を受けても、少しの動揺もなく対応することができる図書館司書のイメージが、常に私の中にはありました。

最初から完璧を求めた私は、カウンターに座ることが恐くて仕方ありませんでした。もしもカウンターに座るように言われたら、少し慣れてからにして欲しいと答えようと、言い訳ばかりを考えていました。

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ライタープロフィール

キイチロウ/男性/50代/福井県在住/ごく普通の仕事をしていて、ごく普通の考え方をする、ごく普通の趣味を持った、ごく普通の外見の人間です。ただ他の人よりも少しだけ、人間ウォッチングに優れていると自分では思っています。