歌手の舞台裏
「歌手の出演はどうやって頼む?」「歌手のお出迎えは?」「歌手のリハーサルとは?」「歌手のわがままに四苦八苦?」など歌手の舞台裏を紹介します。

歌手の出演はどうやって頼む?

2014/02/24

福岡の久留米でピアノの弾き語りをしていたクラブが10周年を迎え、10周年記念イベントで歌手を呼ぶことになります。これを切っ掛けに私は、労働大臣と法務大臣の許可を取得し九州の興行を行う事になります。

クラブのママから私に話があり「なんで!私なのか?」と聞いたところ、「先生は東京出身だし、元渡辺プロダクションでしょ」っと安易な返事が返ってきました。しかも、会場の音響や照明、司会者、バックバンドの手配まで頼まれました。

とりあえず呼びたい歌手をリストアップするようお願いしたところ、「郷ひろみ・石川さゆり・北島三郎のうち誰か」といいます。予算を聞いたら全て併せて100万円、私の知る限り五分の一以下のギャラで無理です。それに、馴染みでもないクラブの10周年記念に出演してくれる訳がありません。

私がママに提案したのは、当時ヒット曲を飛ばしていた「敏いとうとハッピー&ブルー」です。理由は、男女共に人気がありヒット曲が多く、メンバーが演奏するのでバンドがいりません。

早速連絡をつけ交渉しなければなりませんが、まったくコネクションを持っていないのです。ブックショップに行きタレント年鑑を探し出し、事務所の住所と電話番号をメモしました。

交渉の遣り方を間違えると事務所の言い値になってしまいます。事務所は、イベントの内容・日時・キャバ(場所の広さや客席数)を初めに聞いてきます。そして、ギャラをいくらに設定するか考えるのです。ギャラは依頼者の懐具合で決まります。

私は、九州興行の日程に合わせるのでスケジュールをファックスしてくれるよう頼みました。届いたファックスには、福岡8日9日10日、北九州12日13日、佐賀嬉野15日唐津16日、長崎20日、宮崎都城22日、大分別府24日25日、26日帰京と書いてあります。

ここで注目したのは、唐津16日のあと長崎20日まで4日の空白があることです。唐津からは2時間程で来れますし、久留米を中継して長崎まで数時間で行けます。

この話には裏があり、スケジュールの空いている日はギャラを低くする事ができます。ギャラには乗り金(交通費)・宿泊食事代・出演料が含まれますが、唐津から久留米に直行して公演後に長崎へ向かえば、乗り金と宿泊費は必要ありません。何しろメンバーと付き人合わせて8人以上ですからバカになりません。

結局事務所に連絡し、空き日の22日をギャラの2割引80万で押さえました。すると事務所から連絡が入り、23日もどこかに売ってくれないかと相談されます。久留米のとなりにある大牟田の結婚式場を紹介したら、ディナーショウでOKが取れました。こちらは通常のギャラで100万ですが、何と紹介料20万が私にはいってきました。

電話一本で紹介しただけなのに、ギャラの20%は大きいですねえ・・これが間違いの元で、本格的な興行師へと突き進んでいきます。

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ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。