整体師の仕事体験記
「整体師の仕事について」「実際に働いてみて思ったこと」「報酬について」など整体の仕事に関する体験談を紹介します。

実際に働いてみて良かったこと

2012/07/08

人の人生とは、まさに山あり谷ありで、波乱万丈の劇の如くなのかもしれません。私が整体師の学校へと通い、約1年間、みっちり先生や先輩たちにしごかれ、半べそをかきながらもどうにか認定書をもらい卒業もし、やっとこ開業まで漕ぎつけたところまではまだ良かったのです。ところが、それからしばらくの間、私の治療院に患者さんが来ることは全くと言ってよい程なかったのでした。膨大に空いてしまった時間、昼間は一人悶々と本箱を作ったり棚をつったり、さらに自分の座る椅子やテーブルなどにも挑戦し、なんとか作ってしまった時にはそれなりに感動さえしたものでした。

また、夕方から夜を経て深夜になるまでは、ただひたすら読書に時間を費やし、気づいた時にはなかなかの読書家にもなっておりました。人間とは、やる気と時間さえあれば、実はどんなことでも出来てしまうように作られている、そもそもそんな生き物なのかもしれません。とは言うものの、肝心の治療院の方は、相変わらずサッパリで、いつも閑古鳥が鳴いているような状態だったのです。そんな私の治療院に転機が訪れたのは、一人のご婦人からでした。すでに開業してから2ヶ月以上がたっておりました。

たまにしか来ない患者さん。私は誠心誠意、施術に当たりました。さて、そのご婦人が何度目かに来られた時、ふと、何気ない調子で私に話しをされるのです。それによると、実は駅前に出しておいた私の治療院の看板には、以前から気になっておられたとのことでした。それでも、すぐに施術に来られなかったのは、開業したばかりのところはなんとなく信用出来るのか心配だったとのことで、要するに様子見をしていたのだとのことなのです。なるほど、そんなこともあるのかなと思っていると、非常にニコヤカな表情をして、知り合いにも、肩こりの人や腰痛持ちの人がたくさんいるから紹介しておいてあげるとのこと。

話半分程度に聞いていたところ、そのご婦人の紹介だという方が女性の方たちだけでなく、そのご主人たちを含めてかなりの数に上りました。ご婦人が施術に来られた時に感謝の言葉を伝えると、私に、"回数券を作りなさい。それで少しでもお安くしてあげれば、女性というものはすごく喜ぶものよ"とも教えてくれたのでした。案の定、回数券は女性たちに人気で、つい最近まで閑古鳥の鳴いていた私の治療院が活況を呈するまでになったのです。ここでつくづく思ったことは、一人の人間を大切にすることがいかに大事かということでした。そのことを身を以って教えてくれた、ご婦人には今でも感謝の気持ちでいっぱいです。

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ライタープロフィール

ガクドウさん/男性/年齢:50代/横浜市在住、サラリーマン時代から、文章を書く仕事に携わっていた関係から、現在はライターを職とするようになりました。人からちょっと変っていると言われますが、その分、ちょっと違った角度から物を書くことが出来ると思っております。よろしくお願いします。/ブログ