ホテルのロビーピアニスト体験記
プロミュージシャンへの道のり、ピアノ弾き語りの魅力、ホテルのロビーピアニストとは、東南アジアへ演奏旅行について紹介します。

東南アジアへ演奏旅行 フィリピン編

2012/12/21

フィリピンへ演奏旅行に出かける切っ掛けになったのは深夜1時から4時までピアノを弾いていた、ナイトクラブのフィリピンバンドとの出会いです。

フィリピンバンドと交代で演奏していましたが、彼らは私のギャラの半分でした。私のギャラが30万円でバンドが15万円、さらに人数で割ると1人3万円しかなりません。かなりプロモーションに搾取されているなあ・・と思ったら飛行機代、パスポート代、衣装代、楽器代、衣食住、全てプロモーターの負担だそうです。

半年日本で働いてフィリピンに帰国すると、チップも併せて1人20万円ほどになるそうです。半年で20万円は安いんじゃないの?と思ったら。20万円あればローカルの家が建つそうです。

時々食事をおごったりして仲良くなった頃「フィリピンに来ないか?」と誘われました。フィリピンの中でも特に有名なリゾート地、セブ島のホテル演奏です。早速ネットで検索すると、何と!紺碧の空とエメラルドグリーンの海、そして白い砂浜!南の島の天国に見えました。ホテルは空港の前に建つカジノホテルとの事です。頭の中に、韓国のカジノホテルが浮かんでニコッとし、海〜と叫びそうになってしまいました。私はお店と契約が切れた後に1ヶ月ほど休んで、セブ島に行く事にしたのです。

日本からセブ島までは3時間30分ほどで到着します。空港を出るとバンドマン全員が迎えに来ていました。「ホテルは決めてあるか?」と聞くので「演奏するカジノホテルでいいよ」と言いました。ホテルは空港の目の前で、シンデレラのお城のような造りをしています。

ホテルにチェックインして「マネージャーと話そうか?」と言ったら「マネージャーは必要ない」と言います。「契約しないとVISAの問題もあるでしょう?」と聞いたら「契約は無いし、VISAは内緒だ?」と言います。何だ!何だ!話の方向性がおかしいぞ?話を良く聞いてみると

1、ホテルとは1週間の演奏契約をして1日500ペソの食事つき
2、此処の仕事が終わったら次はマクタン島のリゾートホテルがある
3、バンドマンのメンバーとして演奏するから契約は無い

それじゃ、ホテルの部屋を提供してくれないの?1日500ペソのギャラって1000円でしょう?トホホホ・・スイートルームが、カジノが、リゾートが遠のいていきます。

がっかりしているとバンマスが「あのう・・ギャラの500ペソはバンド全員の分です。」「それじゃ、私を入れて5人だから1人100ペソかい!」怒るにも力が入りません。今までの海外演奏で、最悪最低のレベルになってしまいました。しかし、セブ島の豊かな大自然と、貧乏でも明るく生きている国民性に惹かれて僅か2度目の訪問でセブ島に移住してしまうのです。

まあ、ビップ待遇は夢の夢ですが、お金で買えない物も沢山あると感じさせてくれました。

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ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。