ホテルのロビーピアニスト体験記
プロミュージシャンへの道のり、ピアノ弾き語りの魅力、ホテルのロビーピアニストとは、東南アジアへ演奏旅行について紹介します。

ロビーピアニストの休日

2012/12/17

韓国の釜山にある、海雲台カジノホテルでロビーピアニストをはじめました。ラウンジを訪れるお客様の層や国に併せて選曲し、時にはハッピーバースデイも演奏します。お客様からのリクエストも受けるようになり、日本人のピアニストがいると知れ渡っていきます。

朝は6時に朝食をいただき、7時から1時間演奏をします。8時からプールサイドでコーヒーを飲み、10時半に軽い昼食をとります。11時から午後2時まで演奏をして、夕方5時までサウナやプールで時間を過ごします。5時半に夕食をすましたら、6時から10時まで30分おきに演奏をします。10時に仕事が終わると、カジノに行きカウンターでビールやブランディーをご馳走になります。カジノではカウンターでの飲食が無料になっています。

昔の戒厳令の影響で、ホテル内にショップや娯楽施設が装備され、快適に過ごす事ができます。しかし、毎日が同じ行動だと人間は退屈してくる生き物なのです。ピアニストは唯一の趣味を職業にしているので、他に此れといった趣味が無いのです。当然の事ながら、休みの日曜日には外出するようになってきます。

ホテルのある海雲台は、風光明媚な海岸線にあります。夏には庶民が海水浴に訪れる場所として人気があります。朝起きて身支度を整えたら、海に向かって歩き出します。ほんの数分で海岸線に到着し、ジョギングコースとして最適な環境を持っています。私はウォーキングですが、顔なじみになってくると「アンニョン アンニョンハセヨ」と声を掛けてくれます。海風が心地良く、庶民の生活を感じる事ができ、毎週違った風景を見せてくれるのです。

朝早くから大衆レストランや屋台がオープンして、タクシードライバーが集まってきます。朝のメニューは水餃子と雑炊がメインになっています。サッパリとした味付けで毎日食べても飽きません。好みで調味料を足したり、無料のキムチを加えたりして、自由に味付けができます。

朝の9時を少し過ぎると、長いすを囲んで女性たちが花札をはじめます。日本とまったく同じ絵柄で、青タン、赤タン、猪鹿蝶などの役も同じです。はじめの内は穏やかですが、時間がたつと興奮してきて声が次第に大きくなっていきます。

湾岸沿いは夜になると観光客用の屋台が建ち並びます。結構大掛かりな屋台で、豊富な魚介類が所狭しと並んでいます。刺身は日本と少し違いますが、わさびが利いて結構いけると思います。魚介類を選んでから調理方法を指定するのが一般的な注文ですが大将にお任せで構わないと思います。料金は時価ですから、注文する前に料金を確認しておきましょう。

ちょっと遠出をして地方の観光がしたいと思いましたが日曜日1日だけの休日では難しいですね。また、ホテルの近く以外は全て専用の車と運転手を使用しなければなりません。無料ですけど、何か監視されているようで自由がありません。

運転手に聞いたら「外国人のピアニストは貴重で、他のホテルにスカウトされると困るからだ」と言います。日本とは隣どうしなのに、近くても遠い国だったんだなあ・・と感じました。

関連記事
ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。