ホテルのロビーピアニスト体験記
プロミュージシャンへの道のり、ピアノ弾き語りの魅力、ホテルのロビーピアニストとは、東南アジアへ演奏旅行について紹介します。

ロビーピアニストはビップ待遇

2012/12/16

福岡でのピアノ演奏契約を解除してフリーになりました。博多に1DKのマンションを借りて、住所を登録しパスポートを作る事にしました。初めてのパスポートは写真写りが悪く、元も良くありませんが、人相が良くありません。しかし、パスポートを手にしているだけで、ワクワクする興奮と夢と希望が沸いてくるのです。

海外のロビーピアニストになろうとパスポートを取りましたが何のツテもコネもありませんし、良く考えたら英語は歌詞に出てくる単語しか判りません。「まあ、とりあえずは観光気分で情報収集すれば良いかなあ・・」程度の考えしかありません。「博多から一番近いのは韓国だ!韓国で一番近いのは釜山だ!」と安易に決定しました。福岡国際空港から釜山までは、何と40分です。博多から自動車で熊本に行くより近いんです。

昼前には釜山のホテルにチェックインでき、初めてブルコギ?という本場の焼肉を食べました。肉、飯、辛みそ、野菜、キムチ等、目の前にある食材をチシャに包んで食べるのも初めてです。

福岡の旅行会社で、釜山の有名なホテルをピックアップしてもらい、メモしておきました。ホテルのタクシーを2時間借り切って、全て回ってもらう事にしたのです。プラス料金で日本語の判る運転手にして貰いました。リストアップしたのは全部で8件あります。運転手にリストを見せて、全部回るように指示しました。

1件目はラウンジにピアノ無し、2件目も3件目もピアノ無しやっと7件目にピアノはありましたが、ホテル内のクラブでした。最後の8件目は、何と改装中です。

運転手に、「どこかラウンジにピアノが置いてあるホテルを知らないか?」と聞いたら「大丈夫!海雲台 カジノホテル ゴーゴー!」と言います。がははは、初めから運転手に聞けばよかった。

海雲台のカジノホテルは、外国人専用になっていて、現地の人はカジノに入る事ができません。私はカジノを素通りしてロビーのデスクに向かいました。「誰か日本語を話せるスタッフはいませんか?」と訊ねたら流暢な日本語を話すスタッフが来ました。まあ ダメ元で良いかと思い「ラウンジでピアノを弾く仕事がしたい」と申し出るとゼネラルマネージャーに連絡をしています。ラウンジに案内されると、中央にコンサート用の一回り大きいグランドピアノが置いてあります。ピアノの上にある楽譜を見ると、かなり古いレパートリーで日本では演奏できません。マネージャーが名刺を差し出し、「今から3曲ほど弾いてくれますか?」と言います。

私は、日本の最新流行歌を1曲、ジャズのスタンダードを1曲そしてミディアムのボサノバを弾きました。演奏の途中でマネージャーが誰かに連絡をしてメモを取っています。オーナーに演奏を聞かせて条件をメモしているようです。演奏が終了するとホテルの心臓部にあたるオフィスに案内されました。「さっきオーナーが貴方の演奏を聞いて、是非契約したいと言っています。」契約の条件は、期間1年、セミスイートを無料提供、ホテル内の施設の自由使用食事はレストランで3食提供、ギャラは1ヶ月5000ドル、就労VISAはホテルが取ります。演奏時間は、朝の7時から8時、昼の11時から2時、夜の6時から10時 計8時間日曜日はお休みになります。

おおお!行き成り契約の話に発展してしまいました。ギャラの5000ドルは、日本の3割増しになります。セミスイートで3食付、スパやサウナ、プールも無料で使用できます。しかも、休憩時間に外出する時は、ホテルの専属運転手付きで無料です。

これって、始球式で間違えてホームラン打ってしまったような展開です。ええ・・こんなに簡単に話が決まって良いのかあ・・何も考えず、翌日マネージャーと一緒に就労VISAを申請してしまいました。

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ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。