- ホテルのロビーピアニスト体験記
- プロミュージシャンへの道のり、ピアノ弾き語りの魅力、ホテルのロビーピアニストとは、東南アジアへ演奏旅行について紹介します。
東南アジアへ演奏旅行 香港編
2012/12/20
私が香港でピアノを弾いていたのは、香港島の中心地にある高級夜総会の店内です。香港もカラオケが浸透し、カラオケバーは沢山ありますが地元の富裕層やビジネスマンが訪れる高級夜総会は、本格的なショウを楽しむ事ができます。
香港では、カラオケバーとクラブ、そして夜総会に区別されます。カラオケバーは日本と同じスタイルで、健全な社交場といえます。日本人専用のカラオケバーも多く、カラオケ、メニュー、料金表も日本語になっています。
クラブは女性が隣に座り接客する社交場で、日本にあるクラブと大差ありません。働いている女性は、フィリピン人、韓国人、中国人が多く、日本の外人パブと同じような、時間制システムを採用しています。夜総会はゴージャスなキャバレーとしてイメージすると判り易いかもしれません。白人のダンサーやショウガールによる本格的なステージを楽しみながら優雅なひと時を過ごす事が出来ます。
私がピアノを弾いていた夜総会は香港島の中心街にあり日本では考えられない派手々な店構えをしていました。ゴールドカラーをふんだんに使い、眩いばかりの電飾で飾られています。エントランスには、頭にターバンを巻いたインド人のようなドアマンが立っています。靴が沈み込むほど柔らかい絨毯が敷かれ、豪華な内装と装飾品が置かれています。正面には可憐なショウを見せる大型のステージがあり、本場ラスベガスのショウガール達が、セクシーでゴージャスな衣装を身にまとっています。私の仕事場は、夜総会のビップルームになります。特別な接待で使用されるビップルームは会員制で、極限られた富裕層しかメンバーになれません。
ピアノの仕事は決まった時間に演奏するのではなく、リクエストがあった時に演奏します。時には接待客の国を伝えられて、急遽楽譜を用意する事もあり、神経を使う仕事です。或る日、アラブのお客さんからリクエストがありましたがどんなに調べてもアラブの楽譜を入手する事が出来ませんでした。仕方なく、アラブの音階で即興演奏をしてしまいました。
ピアノのレとラを半音下げた7音階で演奏したのです。はじめの内はインドの蛇使い的なメロディーになりあはは・・このままじゃまずいなあ・・と思いながら半分焼けっぱちで「さくら」「紅葉」「ひなまつり」など日本の歌や童謡をアラブ音階で弾いてみたのです。
なんと!奇抜なアイデアが受けて、アラブ人から拍手喝さいでした。アラブ人は日本びいきで、日本とアラブが合体した音楽は始めて聞いたと喜んでいました。
香港には20回以上渡航していますが青い空が見えた日は数えるくらいしか有りませんでした。働いている人と楽しんでいる人達のギャップが余りにも大きく表と裏、光と影、そして富と貧を感じさせられた演奏旅行です。
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Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。