歌手のキャンペーン舞台裏
「歌手のキャンペーンは日本だけ?」「歌手のキャンペーンはノーギャラ?」「歌手のキャンペーンは呼んだら来てくれる?」「メリットは?」「デメリットは?」など歌手のキャンペーン舞台裏を紹介します。

キャンペーンで心を入れ替えた歌手

2014/01/16

私がキャンペーンをサポートして、こんな生意気な歌手とは付き合わないと思いながら、数年後に再会すると見違えるように変っていた男性歌手がいました。役者のような風貌をしておりポニーキャニオンのキャンペーンで来訪します。

事務所にキャンペーンの依頼が入り、当時経営していた20坪ほどのスナックに連れて来ると、しっかりとした挨拶で礼儀も正しいのですが、ソファに腰掛けた態度が横着です。

いきなり「私は高校球児の時に甲子園へ行ってるんですよ。」「デビューしたばかりですが月収100万貰ってるんですよ。」「親父のツケで自由に銀座で飲めますから、こんど遊びに来てくださいよ。」

いままで、キャンペーンをやっていて銀座に招待されたのは初めてですし、売れてもいないのに月収100万と聞いて北島事務所に腹が立ってきました。しかも、キャンペーン用のCDは20枚しか持ってきていません?試しに「何件くらいキャンペーンをしますか?」と聞いたら、「まあ 二三軒でいいんじゃない!」と笑っています。

私はすっかり呆れてしまい、ダメだなこりゃ・・・と思いました。

それから数年後、突然事務所を訪ねてきて「キャンペーンをお願いします。親父にこれが最後で売れなければ歌手を廃業しろ」と言われ、本人の必死さが表情から感じ取り事ができ、思わず「銀座はどうしたの?」って聞いたら、「銀座どころじゃないですよ、破門ですよ破門!」と食い下がってきます。新曲を聞かせてもらったら、何か早口の歌で個性的ですが売れるかなあ?という感じでした。

率直な意見として、「歌が売れるか売れないかは作品の良し悪しよりも、歌手の熱意と誠意が観客に伝わるかだぞ」「判っています。親父にも同じ事をいわれました」「本当にこれが最後のチャンスと思っているのか?」と聞くと、「本当です。歌詞にも最後の・・がたくさん出てくるんですよ」???まだ少し甘いかな?

直ぐには売れませんでしたが、親父の裏からの支援もあり有線で徐々に人気が出てきます。翌年「夜のヒットスタジオ」で熱唱する彼の姿をテレビで見て驚きました。そこには歌に全身全霊をよせる山本譲二の姿があったのです。

歌手を甘やかせた親父も悪いけど、鬼のように突き放す親心を持っているんですねえ。

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ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。