営業職の体験記
「営業職のオモシロさ」「受注を取り逃がした苦い体験」「仕事を円滑に進める社内営業」など、14年間の営業職体験から得た事を紹介します。

営業、はじめての客先訪問

2012/09/07

学校は卒業したものの、文系だった私には手に何の職もなく、世の中の景気も良かったことも手伝って、難なくある会社の営業職として採用されました。実は内定だと言われた会社が数社にも及んでしまい、自分でもびっくりしていたのですが、お断りするのが大変なくらいでした。私自身としては、卒業単位ギリギリのところで卒業するような出来の悪い学生だったのですが、世の中の景気が非常に良い頃だったので、そんな私でも会社訪問さえすれば、即、内定となったのです。

それほど就職するのが容易な時代で、今日の就職難からは、ちょっと想像出来ないことだと思います。私が営業職を希望した理由は、いたってカンタンで、要するにそれしか出来ると思われるものがなかったからです。それどころか、世間知らずというのは怖ろしいもので、営業という職種がそもそも何をする仕事なのかも、実のところ何も分かっておらず、要するに、販売関係だろうぐらいにしか考えていなかったのです。さて、そんな私が入社後、上司につき従ってはじめて連れて行かれたところは、非常に有名な超ビッグと言っても良い、誰もがその名前ぐらいは知っているという会社でした。

そういうデカイ会社さんには、必ず、受付にキレイなお姉さんが2人ほどいて、ニコリと微笑みながらこちらの用件を聞いてくれるのです。私の上司が○○課の○○さんと名前をいうと、すぐに社内電話で確認をとり了解を得ると、私たちはエレベーターで上がっていき、これまた大きい応接室へと案内されたのです。応接室では、正直なところ座り心地の良くないフカフカのソファに座らされ、緊張の頂点に達しながらも、受付の女性がキレイだったことなどを思い浮かべながら、待つこと数分、恰幅の良い、眼鏡の奥でギョロリとした目が輝く中年男性が、いかにも営業スマイルといった笑顔で上司と私に対応してくれたのでした。

上司が口火を切り男性にあいさつを済ますと、私の方に振り返り、「これからは、実務の方は彼にまかすことにしますから」と言って、私の肩をポンと軽く叩くので、私は腹を蹴られた馬のごとく、ペコリと頭さげながら名刺を差し出し、緊張しまくりながらも、ともかく挨拶をすませたのでした。しばらくの間、上司と男性との会話が弾み、その後、会社を出て緊張から解放された私は、ドッと疲れているわが身を引きずるようにして、自分の会社に帰ったのを覚えております。

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ライタープロフィール

ガクドウさん/男性/年齢:50代/横浜市在住、サラリーマン時代から、文章を書く仕事に携わっていた関係から、現在はライターを職とするようになりました。人からちょっと変っていると言われますが、その分、ちょっと違った角度から物を書くことが出来ると思っております。よろしくお願いします。/ブログ