営業職の体験記
「営業職のオモシロさ」「受注を取り逃がした苦い体験」「仕事を円滑に進める社内営業」など、14年間の営業職体験から得た事を紹介します。

営業の接待、お酒の上だからこそもう一人の自分が大切

2012/09/03

なにはともあれ、営業は仕事を取ってきてこその営業です。いくら頑張っておりますといったところで、毎月、売上がビリでは、"なにを頑張ってるんだ"との叱咤が飛ぶのは当然と言えます。そして、仕事を受注するためにはどうしても客先とのつき合いが大事で、そのつき合いとは多くの場合、先方を招待することで、つまり接待となるのです。私の場合でいうと、よく使ったところは横浜中華街でした。あらかじめ電話で人数とコースを予約しておいて、会社の経理から預かったお金を懐に忍び込ませ、夕方ともなると客たちをタクシー数台に分乗してもらい、中華街のどこそこのお店までと運転手さんにお願いするのです。

さて、接待というと、なぜかいつも最後はお酒となるのが、いまだに理解に苦しむところです。というのも、実のところ、私はお酒が苦手なのです。まったくダメというわけではありませんが、飲むとすぐに顔が赤くなるし、酔いが人よりも早い方なのです。また、その一方では、そういう席では、必ずというほど場を仕切る人物が登場し、続いてその人の口から出る言葉が、"今日は無礼講でいきましょう"とくるのです。

さらに、まだ年若かった私を名指しして、"○○君は若いのだから、遠慮せずに大いに飲みたまえ"とくる。こちらとしては、別に遠慮しているつもりはなくて、そもそもお酒が好きではないから、嫌々ながらチビリチビリとやっているだけなのです。もし、"遠慮せず"というなら、このチビリチビリとやる飲み方こそが遠慮のない飲み方なのですが、どうもそれは理解してもらえないのがお酒の席というものなのです。仕方なくグラスに注がれたビールなどをググッとやっていると、接待する側である筈の私の方が酔っぱらってしまい、席の盛り上がりをよそに、"早く終わらないものか"と、ニコニコ顔をつくりながら、一人で思い悩んでいたものでした。

その時、酔った頭でつくづく思ったことは、"遠慮しなくていいから"という言葉は、周囲にたくさんの遠慮をして、飲めない酒を嫌でも飲めという意味であり、そうであれば、"今日は無礼講"との意味も、要するにオレたちを楽しませ、気分よくさせてくれなくては困るので、そのために十分な礼儀を尽くせとの意味にも取れるのです。さて、営業の接待でのお酒の席なんてモンは、要するにこんなもので、そんな時に大事なことは、たとえ体は酔っていても、酔わずに素面のままでいる、もう一人の自分をしっかりと保っているということなのです。

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ライタープロフィール

ガクドウさん/男性/年齢:50代/横浜市在住、サラリーマン時代から、文章を書く仕事に携わっていた関係から、現在はライターを職とするようになりました。人からちょっと変っていると言われますが、その分、ちょっと違った角度から物を書くことが出来ると思っております。よろしくお願いします。/ブログ