- 地方紙の連載体験記
- 「地方紙の連載で大変だったこと」「失敗談」「どのようなペースで書いたのか?」など地方紙の連載体験記を紹介します。
地方紙の連載で担当者はどんな人だったのか?
2012/01/25
担当者はまだ若い30歳前の男性でした。第1回目を書き始める前に自宅を訪れました。お互い自己紹介がてら30分ほど話をするうちに打ち解けて、本題に入りました。担当者から、どんなことを書きたいかと訊かれて、私はすぐには答えられませんでした。
ただ漠然と日々のことを書こうと思っていただけで、何か特定のことや物について書きたいという訳ではありませんでした。正直のそのことを話すと、担当者は「そういうのもいいでしょう」といって帰りました。そして初めての原稿をメールで送付しました。
数時間後、担当者から自宅に電話が入りました。送付した私のコラムの感想をひとしきり述べた後、じわりじわりと本音を語り始めました。出だしの部分はこう書いたほうがいいのではないでしょうかとか、中ほどをこんなふうに書き直すともっと良くなると思うのですがなどと、一見柔らかそうな言い回しで言いたい放題しゃべり始めたのです。
第1回目のコラムは、何回も推敲して送付した私の自信作でした。そのコラムについてあれこれと言われたのでは、私としても黙っている訳にいきませんでした。担当者が何かいうたびに、私は反論しました。これは私が書いたコラムなのであって担当者の貴女に一体何が分かる、といわんばかりの剣幕で言葉を吐きだしました。受話器を置き、私はすぐにパソコンに向かい、コラムを読み返しました。指摘された数ヵ所のうちの1ヵ所が、担当者のいう通りだと思えてきました。書き直してみると完成度もぐっと上がり、私は心の中で担当者に謝りました。
この電話攻勢はその後もずっと続き、私にとってそれは恐怖でした。一度受話器を取り上げると20分、30分はざらで、家族も呆れるほどでした。2回目の電話からは私も意地にならず、まずは担当者の言い分を聞きました。それからどうしても譲れない部分だけを先に告げ、そのほかの箇所についてだけ意見を戦わせました。1年後、その担当者が人事移動で北海道へ行くことになり再び自宅を訪れました。私はその担当者からとても多くのことを学びました。
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キイチロウ/男性/50代/福井県在住/ごく普通の仕事をしていて、ごく普通の考え方をする、ごく普通の趣味を持った、ごく普通の外見の人間です。ただ他の人よりも少しだけ、人間ウォッチングに優れていると自分では思っています。