- 地方紙の連載体験記
- 「地方紙の連載で大変だったこと」「失敗談」「どのようなペースで書いたのか?」など地方紙の連載体験記を紹介します。
地方紙の連載での失敗談
2012/01/24
私が地方紙のコラムに書いたのは、主に自分の家族のことでした。といってもその殆どが、子どもたちがまだ幼かった頃の出来事でした。今はすでに成人した子どもたちは、私のコラムを読んでその時どきの思い出を話すことがありました。家族は誰もみな一読者として、私のコラムを好意的に読んでくれていました。だから私はコラムを新聞社に送付する前に家族の誰かに見せる、ということをしていませんでした。そういう必要はないと思っていましたし、家族の誰かが恥ずかしいと思うようなことは絶対に書きませんでした。そんな中で私は、時どき子どもたちが成人してからのことも書き始めました。そしてそれはつい最近の出来事であったりもしました。
あるとき私は、娘のファッションのことを書きました。それはロリータファッションで、娘は高校生のときからロリータファッションに夢中になっていました。夏休みにアルバイトをして電車に乗り、遠くの専門店へ買い物に出掛けました。つま先から頭の天辺まで全てそのロリータファッションのブランド品を買い込み、娘は有頂天で帰宅しました。
嬉しそうに着替えている娘のそばに、レシートが落ちていました。私と妻は何気なくその金額を見て、驚きました。アルバイトで貰ったお金は10万円だといっていたのに、そのレシートの金額は8万8千円だったのです。電車賃を入れると殆ど10万円になってしまいます。
そのことを私はコラムに書いたのでした。そしてコラムが掲載された日の夕食時、娘がじわりとその話を始めました。
娘の言い分はこうでした。「わたしのことを書くのは一向に構わないし、今度のことも実際の出来事だから文句はない。だけどもう子どもじゃないのだから新聞社に送る前に一度見せて欲しい」。私としては何も思わない出来事だったのですが、娘にしてみると何か違う感情があったのかもしれません。私は娘のいうとおりだと思い謝りました。いくら自分の家族の子どものことであっても、小学校高学年くらいになったなら、原稿が出来あがった時点で一度読んでみて貰うことをお勧めします。
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キイチロウ/男性/50代/福井県在住/ごく普通の仕事をしていて、ごく普通の考え方をする、ごく普通の趣味を持った、ごく普通の外見の人間です。ただ他の人よりも少しだけ、人間ウォッチングに優れていると自分では思っています。