- 地方紙の連載体験記
- 「地方紙の連載で大変だったこと」「失敗談」「どのようなペースで書いたのか?」など地方紙の連載体験記を紹介します。
地方紙の連載で大変だったこと
2012/01/15
原稿の締め切りは1年間決められていました。1ヵ月間に一度の提出でしたから、毎月20日までには新聞社へ送らなければなりませんでした。書き始めて3ヵ月目までは、早め早めに準備して原稿を書き溜めていました。だから推敲も十分で、コラムはそれなりの出来上がりでした。
しかし慣れてくると少しずつ書き始めるのが遅れてしまい、ついに今日中に送付しなければならない、という事態に陥りました。窮地に追い込まれれば書けるかというとそうでもなく、私はただ焦るだけでした。考えても考えても何も書くべきことが思い浮かばずに、日常の様子を文字に変えただけの原稿を送付してしまいました。
書き始めの3ヵ月間は、ただ「読ませて貰いましたよ」とだけいっていた読者の方々の反応が、この頃になると少し変化してきました。良いコラムが書けたときには「面白かったですよ」といってくれる代わりに、良くないときには私の顔を見ても無視するのです。いや無視ではなく何も言わないというか…言えないというのが本音のようでした。
相手の気持ちになって代弁するとすると、こんなコラムに対して「良かったですよ」というと返って嫌味になってしまうし、かといって「悪い出来でしたね」ともいえないから黙っているという感じなのでした。いつも私のコラムを読んでくださる方々に気を使わせてしまうことは、私にとって不徳の致すところでした。大きな声で「面白ったですよ」と言っていただくためには、私が良いコラムを書くこと以外にありませんでした。
それは私にとってかなりのプレッシャーで、いくら一生懸命取り組んでも良いコラムが出来上がるとは限りませんでした。その頃になって初めて、私は1編や2編の良いコラムは誰にでも書けるということに気付いたのでした。
大切なことはある、一定レベルのコラムをコンスタンスに書き続けることができる実力です。その力を養うために、私はできる限り多くの人に会い、多くの話を聞くように心がけました。安易に考えて書き始めたコラムでしたが、毎月1編書くことの大変さに四苦八苦する日々が始まったのでした。
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キイチロウ/男性/50代/福井県在住/ごく普通の仕事をしていて、ごく普通の考え方をする、ごく普通の趣味を持った、ごく普通の外見の人間です。ただ他の人よりも少しだけ、人間ウォッチングに優れていると自分では思っています。