小説の出版体験記
「どのようにして出版に至ったのか」「小説を書いていて大変だったこと」「小説の書き方」など小説の出版体験記を紹介します。

小説を書いていて大変だったこと

2011/12/22

小説を書くとき、書き手はその小説の全てを把握していなければなりません。病院の物語であれば医師や看護士の仕事内容や私生活、学校の物語であれば先生や生徒の行動や心理までもを理解していなければなりません。

登場人物の行動や言動が不自然だと、物語全体が作りものようになってしまいます。とはいっても、実際にその職業に就いたことのない人には詳細など分かる筈もありません。そこで必要になってくるのが取材です。

現代はインターネットでかなり多くの情報を得ることが可能です。しかしネット上の情報には信頼性の問題があります。確実な情報であるかどうかを必ず調査しましょう。

実際にその現場へ取材に行って得た情報と、ネット上での情報には大きな差があります。実際の情景を自分の目で見て気温や風を体で感じることは、情景描写にとても役立ちます。その場にいる人々から直接聞いた言葉には、それぞれの人々の様々な思いが込められていて、それを心で感じ取ることができます。

しかしインターネットからの情報では、体や心で感じることができません。やはりそこに息づいている自然や人の言葉が必要なのです。

書き手には、風や光や匂いなど多くの自然や人の深い思いを感じ取る感受性がなければなりません。しかし実際に多くの情景を見たり言葉を聞いたりしても、なかなか簡単に感じ取れないときがあります。

小説を書いていて一番大変だったことは、この何も感じられないときでした。感じられなければ感じられるまで待つ、あるいは書かなければ良いのですが、そういう訳にもいきません。

といって、そんな状態のまま書き始めたりすると、薄っぺらで真実味のない小説に仕上がってしまいます。感じることができなければ何度も情報を集め直し、取材を繰り返しながらそれが熟成するまで作品と向き合うことが大切です。

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ライタープロフィール

キイチロウ/男性/50代/福井県在住/ごく普通の仕事をしていて、ごく普通の考え方をする、ごく普通の趣味を持った、ごく普通の外見の人間です。ただ他の人よりも少しだけ、人間ウォッチングに優れていると自分では思っています。