インドってどんな所?
インドに長期滞在したそまちひろさんが、現地の様子を紹介します。

バラナシで日本語堪能なインド人とバトル

2015/10/06

バラナシには日本人と韓国人のバックパッカーが異常に多く、商売熱心なインド人は、日本語と韓国語を勉強して商売に役立てています。そのため、食堂やゲストハウスにはたいてい日本語が話せるインド人スタッフがいて、日本語で話しかけてくるという不思議な町です。

思えば、日本行きの航空券を買った旅行会社のおじさんも、行きつけのインターネットカフェの兄ちゃんも、よく雑貨を買っていた雑貨屋のオーナーも、みんな日本語が話せました。商売熱心の一念で日本語を勉強するのは素晴らしいことだと思うのですが、中には使い方を間違えているけしからん輩もいます。

ある日、外国人の友人たちと一緒にメインストリートを歩いていると、二人連れのインド人男子がにやにやしながらこちらを見ていました。で、すれ違い様にひとりが「胸が小さいねー」と日本語で言ったのです。日本語だったので、わたしに向かって言ったのが確実です。失礼な奴だな、まあ胸がないのは本当だけど、と腹立たしく思いながら、まあその場は騒ぎ立てませんでした。

しかしそれから数日後、また同じ友人たちと歩いていたとき、失礼なインド人が同じ場所にいて、今度はここには書けないような卑猥な言葉を日本語で浴びせてきたのです。これには堪忍袋の緒が切れました。日本語には日本語だ! と思い、「ふざけんなよおまえ、アホか」とものすごい剣幕で怒鳴りつけました。すると向こうも「おまえがアホだ」と日本語で怒鳴り返してきます。一緒にいた外国人の友人たちはポカーン、です。

見たことがないくらい怒っているわたしを心配して、友人が「どうしたんだ」と聞いてきました。かいつまんで説明すると、その友人も怒ってしまい、失礼なインド人男子の胸ぐらをつかんで「礼儀正しくしろ!」と怒鳴り始めました。なんだなんだと他のインド人たちも見物に集まり始めてしまい、その場はカオス状態でした。

他のインド人が日本語を理解できないのをいいことに、加害者がいいように周りを言いくるめるので、日本人が日本語で被害にあっても泣き寝入りになりがちです。そのため、日本語で話しかけてくるインド人には要注意。わたしは日本語で話しかけられても、常に英語で返すようにしていました。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。