インドってどんな所?
インドに長期滞在したそまちひろさんが、現地の様子を紹介します。

情熱的な亡命チベット人に追いかけ回された話

2015/09/30

北インドのダラムサラにはダライ・ラマ官邸があり、亡命チベット政府があります。ダライ・ラマを追ってインドに亡命してきたチベット人も数多く住んでおり、一大コミュニティが出来上がっています。

ダラムサラに滞在していたとき、英語を教えるボランティアグループに参加しました。そこで知り合った亡命チベット人のGは、15歳のときインドに亡命してきて、南インドにあるチベット仏教僧院に入ったそうです。10年間をそこで過ごしたあと、もっと実際的な面でチベットを支援したいと考え、僧院を出たとか。

今はカナダに亡命した親戚から仕送りをもらって、ダラムサラで勉強している……などなど、いろいろ身の上話を聞きました。自分の国に帰れないって大変だなあと思いながら、親身になっていろいろ聞いているうちに、Gが勘違いをしてしまったらしく、「好きだ、付き合いたい」と言ってくるようになりました。

異国の地で孤独なところへもって、女子に優しくされたら勘違いしてしまうのは分かりますが、そこまでボランティアすることはできません。初めは笑ってごまかしていましたが、Gがどんどんエスカレートしていくので、面倒になってダラムサラを去ることにしました。

バラナシに行く、とだけ告げて、他の友人2人と一緒にダラムサラを去りました。バラナシに点いた3日後、メインストリートのベンガリー・トラを歩いていると、ばったりGに出くわしたのです。わたしが去ったあといてもたってもいられず、とりあえずバラナシに出てきて、いろんな人に「日本人で、こういう見た目の子を知らないか」と聞いて回っていたのだそう。それストーカーだよ……という言葉を呑みこみ、今度は「わたしはその気はないから、こういうことは止めて欲しい」とはっきり伝えました。

Gはものすごくがっかりしていましたが、心配していた逆ギレもなく、すぐにダラムサラに帰っていきました。彼はたまたまチベット人でしたが、インドでは結婚前の男女の付き合いがまだ珍しく、インド人男性が外国人女性にすぐ恋をしてしまうのは有名な話。勘違いさせないように、ほどほどに仲良くしたいものですが、難しいところです。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。