インドってどんな所?
インドに長期滞在したそまちひろさんが、現地の様子を紹介します。

世にも不思議なインド発航空券

2015/07/14

東南アジア−インド旅行が4ヶ月を迎えようとしていたころ。旅行用の貯金も底をつきかけていたので、そろそろ日本に帰国しないとなあ……としぶしぶ帰国チケットを買うことに。そこで、いい評判を聞いていたバラナシの旅行会社に行きました。

そこは人の良さそうな、でも抜け目なさそうなインド人のおじさんがやっている店で、こじんまりとした構えですがひっきりなしにお客さんが来ていました。日本人の客が多いそうで、おじさんは少し日本語を話します。これくらいの日程で、デリー発東京行きの片道チケットを、とリクエストすると、おじさんはスリランカ航空のコロンボ乗り継ぎで安いのがある、と教えてくれました。

「で、いくら?」と聞くと、「いくらで欲しい?」と聞き返されました。これにはびっくり。長いことインドを旅していましたが、航空券のチケットまで値段交渉制とは! どうなってるんだこの国は、と思いましたが、もちろん航空券自体の値段は決まっていて、交渉次第で旅行会社に入る手数料の額が決まるのでしょう。

目安の価格を言ってもらわないことには始まらないので、「そちらはいくらがいい?」と腹の探りあいです。おじさんが提示した価格は、ネットで調べた航空券の価格より少し高いくらいでした。そこで、わたしはインドが大好きだからまた絶対に戻ってきたい、そのためにはお金を貯めないといけないが、ここで安いチケットを手に入れるのはその第一歩なのだ! と無理矢理な論理をまくしたてました。結果、ネット価格より20%も安い価格で購入することができました。

しかもです。航空券を購入して2週間後、旅の続行を決意したため、出発日の変更を申し入れました。当然手数料を要求されるものと思っていましたが、おじさんは「1回目の変更は無料だよ。2回目からは500ルピーかかるけどね」と言うのです。格安航空券で、そんな安価で日付変更ができるなんて、聞いたことがありません。ただ、もしかしたら上手く交渉した気でいても、おじさんの方が一枚上手で、たっぷり手数料が入る価格だったため、気前よく無料で変更してくれたのかもしれません。

それにしてもインドで買う航空券は摩訶不思議です。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。