インドってどんな所?
インドに長期滞在したそまちひろさんが、現地の様子を紹介します。

天国と地獄が詰まったインドの列車

2015/07/22

インドの長距離列車

インドの長距離列車

インドの長距離列車は最高クラスの1等車から最も庶民的な2等座席まで、さまざまなクラスに分かれた車両で形成されています。わたしはすべてのクラスに乗ったことがあり、払うお金がここまで違いを生むのかと、愕然としました。

まず1等車。これはデリーからアグラの短距離で利用したので、寝台車ではなくリクライニングチェアーでした。椅子にはパリッとした白いカバーがかかり、飛行機並みに車内食が出ました。隣に座ったインド人のお兄さんはヤンエグ風で、ラップトップを開いて、しきりに携帯電話で話をしていました。これがインドでの初めての列車体験でした。

次に2等寝台車。寝台列車では1等車がない場合も多いので、その場合の最高クラスです。寒いくらいにエアコンが効いていて、バンク(棚)と呼ばれる2段ベッドが通路の両脇に張り出しています。ベッドはゆったりしていて、それぞれにカーテンが付き。シーツや枕、毛布がセットされています。食事の時間帯になると、豪華な食事が配られます。ひとりにひとつ電源プラグもあり、快適に過ごせます。

その下は3等寝台車。2等車よりレベルは落ちるものの、設備はほぼ同じです。

以上までが、外国人観光客におすすめできるクラス。以下からは、もの好きか、お金がない観光客が使うクラスです。

スリーパークラス。車両の作りは3等車と同じですが、エアコン、寝具はありません。汚い扇風機が天井で回っているのみ。窓にガラスがはまっておらず、ほこりっぽい空気がどんどん入ってきます。食事は、車内販売の人を捕まえて買うしくみ。食べ終わった容器をみんながそこらじゅうに置くので、床がめちゃめちゃ汚い……。バンクベッドに害虫がいることが多く、刺されていつまでもかゆい思いをしたり、空気が悪いので喉や鼻をやられたり、あんまりいい思い出がありません。

さらに2等座席は、横になることもできない状態で長時間過ごさなければいけません。ちなみにチケットはあってないようなものなので、駅という駅でどんどん人が乗ってきます。網棚に上って寝る人や、床に敷物を敷いて座る人で溢れ、身動きとれません。かなりハードコアです。

日本円にしたら1000円や2000円の違いなのに、天国と地獄に別れてしまうインドの列車。富豪と貧困が入り混じったインドの縮図のようです。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。