インドってどんな所？: インドに長期滞在したそまちひろさんが、現地の様子を紹介します。

遺跡＋ビーチのリゾート、マハーバリプラム

2015/03/10

海岸寺院はビーチからも眺められます

インド人のバケーションの面白いところは、それが必ず「聖地巡礼」の建前とセットになっているところ。「遊びに行くんじゃないよ～」という言い訳で旅行がしやすくなるんでしょうか。その割に旅先で酔っ払っているインド人（ヒンドゥー教はお酒禁止）を見かけるので、信心深いのか何なのかよく分かりません。

というわけでインド人の休暇シーズンともなると、有名なヒンドゥー教寺院や遺跡がある町には、インド人の大群が押し寄せます。家族連れや、若い男性のグループ旅行が多いですね。特に南インドのビーチタウン、マハーバリプラムは、世界遺産にもなっている遺跡群と穏やかなビーチという組み合わせが奏功して、インド人に大人気のリゾートです。大都市チェンナイからバスで2時間ほどのため、日帰り客も多数。

わたしが滞在したのはちょうど年末で、観光客がピークのときでした。そのため有名な遺跡群はインド人観光客で大混雑。うるさいわ、並ばないわ、押し合うわでもう大変です。ただ、遺跡群自体は素晴らしいものばかりでした。特に印象的だったのは、スパっと真ん中で切られたような巨大な丸い石が、丘の斜面に転がりもせず乗っている「クリシュナのバターボール」。また、波打ち際すれすれに建つ「海岸寺院」。他にもヒンドゥー教の神話に基づいた巨大なレリーフや、巨岩から彫り出して作られた寺院など、見所たっぷりです。

海岸寺院はビーチからも眺められます。インド人男子がものすごい勢いでじろじろ見てくるので、水着になることは憚られるビーチですが、日光浴しながら世界遺産を眺められるビーチなんてユニークですよね。

マハーバリプラムのビーチ沿いの町はこじんまりしていて、地元の人がのんびりしており、美味しいレストランも多かったためとても過ごしやすかったです。やはりインド人観光客は日帰りが多いのか、遺跡周辺の喧騒に比べて静かでした。町が気に入って4日ほどいましたが、自信を持ってオススメできるインドの町のひとつです。一風変わったビーチリゾートを味わいたいときに、是非行ってみてほしいです。

ライタープロフィール

そまちひろさん／女性／年齢：30代／中南米（2013年現在）／フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。