インドってどんな所?
インドに長期滞在したそまちひろさんが、現地の様子を紹介します。

サドゥー、最高に人間臭い行者たち

2015/07/17

サドゥーと呼ばれるヒンドゥー教の行者

サドゥーと呼ばれるヒンドゥー教の行者

インドの聖地と言われる場所に行くと、必ず見かけるオレンジ色の布をまとったおじいさんたち。彼らはサドゥーと呼ばれるヒンドゥー教の行者で、出家の身分で聖地を放浪しています。サドゥーは親しみをこめて「ババ(お父さんや、身分の高い男性の敬称)」と呼ばれます。

一応宗派があるようで、額に横3本の白い線をつけているのがシヴァ派。縦3本がヴィシュヌ派とのこと。でも、宗派ごとに何か特別な修行スタイルがあるのかと言えばそういうわけでもなさそうで、日がな1日川辺や木陰でぼんやりしたり、煙草をふかしたりしている姿しか見たことがありません。(もしかしたら彼らなりの瞑想スタイルなのかもしれませんが)

ババは一応お布施や寄進で生活するというのが建前なのですが、怪しい小遣い稼ぎをしているババもいます。一度バラナシで、ガート(川辺の沐浴場)沿いに歩いていたとき、ひとりのババに煙草をねだられました。煙草をあげると、お礼に占いをしてくれると言います。ババの英語は相当あやふやでしたが、何とか聞き取ったところによると、わたしはこの先インドに何度も戻ってきて(これは当たっていました)、インドで結婚するとのことでした(これはまだ分かりません)。 そうなんだ、ありがとうと立ち去ろうとすると、何やらノートを出してきて、これは占った人の名前と、彼らが払ったお布施の金額だ、君もひとつ書きたまえ、と言うのです。いやいや、煙草のお礼なんでしょ、払わないよと言うと、ババが怒り出しました。面倒になってその場を急いで離れましたが、お布施を強要するなんて図々しい行者がいたものです。

でもお布施の強要はインドでは結構普通のことらしく、北インドのダラムサラでも図々しいババに会いました。ある日友達とのハイキングの途中、山の中のカフェに寄ると、小ぎれいな身なりのババがいました。小ぎれいなババというのはとても珍しいので、写真を撮らせてもらったり、チャイをご馳走したりして過ごしました。素敵なババだったねー、と友達と言っていたのですが、2、3日後ダラムサラの中心部で同じババに遭遇したら、「100ルピー貸してくれ」と突然お願いされてびっくり。貸すって、ババ住所ないじゃん、どうやったら返してもらえるの、と逆に質問すると、じゃあお布施してくれ、と言い出す始末。呆れてしまいました。

もちろん真剣に道を究めようとしているババもいるんでしょうが、どうやら観光客に近づいてくるのは、生臭ババが多いようです。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。