インドってどんな所?
インドに長期滞在したそまちひろさんが、現地の様子を紹介します。

はじけすぎの聖地巡礼者たち

2015/06/11

聖地はオレンジ色の人の波で埋め尽くされます

聖地はオレンジ色の人の波で埋め尽くされます

インドでは7月から8月の雨季のあいだ、ガンジス川流域の聖地に巡礼者が押し寄せます。巡礼者たちはサドゥー(ヒンドゥー教の行者)がまとう色とされるオレンジ色のTシャツやバンダナを身につけるため、聖地はオレンジ色の人の波で埋め尽くされます。

デリーの北にある聖地、ハリドワール、リシケシ、ガンゴットリーは最もポピュラーな巡礼スポット。2010年の7月にリシケシに着いたとき、オレンジ色の集団で身動きもとれないメインストリートに愕然としました。ガイドブックには、ヨガを学べる静かなヒッピータウン、と書いてあるのに……。

アーシュラム(ヒンドゥー教の修道場)に泊り込んでヨガを学ぼうと思っていたのですが、巡礼シーズンは巡礼者のみの宿泊所になるため、外国人は泊まれないとのこと。悪いときに来てしまったな、と後悔しました。

しかも、このオレンジ集団、「巡礼者」という言葉の神聖なイメージとはかけ離れたマナーの悪さ。というのも、若い男性グループが聖地巡礼にかこつけて、レジャー気分で旅行している、というのが本当のところ。アジア人を見たこともない田舎の村から出てきたのでしょうか、すれ違うたびに何かしら叫ばれ、囃されるので、おちおち外も歩けません。それだけならまだしも、混みあう橋の上でお尻を触られたり、後ろから突き飛ばされたりした、という日本人の話も聞きました。

極めつけは、泊まっていた宿でのこと。シャワーを浴びていたら、何やらひそひそごそごそ言う音が。怪しく思って周囲を見わたすと、隣の部屋のバスルームに繋がる通気口から、インド人の男の目がこちらをのぞいている! かなり高いところにある通気口なので、肩車までしてのぞいていました。「何してんねん!」と日本語で怒鳴り、手近にあった石鹸を投げつけたらすぐに退散しましたが、そこまでしてのぞきたいのか、と呆れるやら腹立たしいやら。

インドでは慣習的に結婚前に女性と接触できないため、特に田舎の男子は相当女性に飢えているんだとか。それにしてもそんなよこしまな気持ちで聖地巡礼をして、何かご利益があるんでしょうか? 神さまに聞いてみたいものです。

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ライタープロフィール

そま ちひろさん/女性/年齢:30代/中南米(2013年現在)/フリーライターおよび翻訳業。お気に入りの国はインド、住んでみたい国はスペイン、そして現在は南米を縦横断中、という矛盾だらけの人生を満喫しています。著作に「ヘラクレイトスの水」(大宰治賞2009収録)。