英語教材体験記
英語教材を使用してみてよかった所、イマイチな所、使用して思うことを紹介します。

高校入試他県過去問の使い方:全国公立入試問題正解

2013/07/28

どのような教材か
よく、この問題集を購入している受験生を目にします。日本全国の公立県入試が載っていますので、きっと実践的に学ぶ、もしくは入試問題を解くということで、ある意味の安心感や満足感を満たしたいというところなのでしょう。ただ、教える側の人間からすると、他県の入試に手を出すことに大した意味はないと思っています。そもそも問題の傾向が違う。学習ということを考えた場合、様々な問題に触れるということは重要でしょう。それだけ子どもの視野が広がり、きっと応用力もつくはずです。しかし、こと受験に合格するということを考えた場合、もっとも効果的な方法は自県の問題の傾向に沿って勉強することでしょう。この期に及んでは、違う傾向の問題など、まったく時間の無駄とさえ私は考えています。

それでも、長文問題に関して言えば、それなりの使い方があると考えています。もちろん、できるだけ自県と似通っている問題を取捨選択する必要があることは言うまでもありません。そのうえで、他県の長文問題を解くこと、むしろ読むことにはそれなりの意味があります。まず、どの県も指導要領に厳密に沿っているため、その辺の市販のものよりもよほど中学英語を凝縮した内容になっているということです。次に、それとかぶる内容になりますが、よい長文教材がなかなかない、ということです。塾向けの業者教材であれば多分にその県の入試に合わせて作られているのでベストなのですが、なかなか市販はされていませんので、自宅学習などで長文を読むのであれば非常に有用な教材ではないかと思います。

良かった所
長文は、目に見えて効果がでやすいという単元ではないでしょう。しかも、独学ということには適さない分野でもあります。それは国語の文章題などにも言えることですが、長い読み物は、実は読み方というのが大事になってきます。言い方を換えれば、ただ読み流すということではだめだと言うことです。よく塾講師でも、長文はさらりと流してしまう人間がいます。おそらくパフォーマンス的に長文の授業が冗長になりやすいということもあるのでしょう。しかし、それは大きな間違いで、長文こそ読み方を教えた上で、授業内で実践させるべきだとわたしは思っています。理由はすでに述べた通り、子どもは読み方を知らないために、さっと流したり、ましてや家でやらせるということはナンセンスだからです。

こう述べてしまえば、そもそも長文教材の話なんて元も子もないように思われるかもしれませんが、そんなことはありません。きとんと読み方を教えてあげれば、たとえ自宅学習だろうが、読むことに効果はあります。それは、「頭をならす」ということです。どんなに英語が得意でも、またどんなに読み方を理解しても、長文は読まない期間を作ってしまうとそれだけ読めなくなってしまいます。これは経験則なのですが、たとえばしばらく英字新聞などを読まないと、久しぶりに読んだときに驚くほど読めなくなるものです。当然そこからリハビリをしないといけない。そうであるなら、定期的に英語を読むということは大事な作業と言えるでしょう。そのためにこの教材を活用するのであれば、きっとそれなりの効果があると思います。

使用してみて思うこと
解く側からの視点でここまで述べてきましたが、逆に教える側からすると、この教材は非常に興味深いものです。教える側からすると、問題のパターンや例文をどれだけ知っているかが大きな力になります。そこからの取捨選択こそが英語教師の腕のみせどころでしょう。これは尊敬するベテランの先輩からの受け売りなのですが、実際そうなのだろうと最近とくに実感しております。ちなみに、わたしはそういったわけで毎年すべての県入試の問題に目を通しています。効率がいいようには思いませんのでそこまですることに意味があるのかどうかは分かりませんが、高校入試英語を教えるのなら、そのくらいの覚悟も必要かと思います。

2014年受験用 全国大学入試問題正解 英語(国公立大編)

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ライタープロフィール

横浜ホームズさん/男性/年齢:30代/横浜在住、福岡から横浜に来てはや10数年。もはや博多っ子と浜っ子の境を見失う30男。美しいものが好き。だけど醜いものはもっと好き。人生、味がある方がいいよね。