作詞家の舞台裏
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作詞家は定年が無い?

2014/05/07

作詞家には定年退職がありませんが引退はあります。私の場合はヒット曲に恵まれなかったので、辞めるなら引退ではなく廃業になってしまいます。作詞家や作曲家に定年が無い事は、業界においてメリットとデメリットがあります。

作詩の世界に足を踏み入れると、上下関係が厳しくピラミッド型の構成が見えてきます。大手レコード会社の専属作詞家は、一番多いコロムビアで20名プラス、日本クラウンなどは数名しかいません。

昔から作詞家は目の前の席を奪えと言われています。レコード会社は安定した実力のある作詞家を重用し、新人の起用は滅多にありません。つまり、新人は古参の作詞家を乗り越えてこそ専属になれるのです。

大手レコード会社に入り込もうとしても、古参の作詞家が会社の重要な株主であったり、他社に引き抜かれないよう優遇している現状があります。しかも、定年退職がありませんから病院で点滴を打ちながらでも創作したり、お亡くなりになっても未発表曲が何百曲とあったりします。

私が目指したのは大手コロムビアでした。坂道を登り何度もアプローチした結果、P盤やカバーの作詩を依頼されるようになります。よし!これからが正念場だと思っていたら、コロムビアが外資に吸収されてしまいました。

その時のディレクターが新規レーベル「日本エンカフォン」を立ち上げました。暫くすると自宅に電話がはいり、作詞家「鳥居実」のカバー曲を任されました。この作品はカラオケにも登録され、そこそこのヒット曲となりました。しかし、中堅歌手がメインであり、厳しい経営状態が続いていたと思います。歌謡曲系作詞家の平均年齢を調べたら、なんと60歳以上ではありませんか。70歳現役、80歳現役が多数所属している現状は、新人にとって好ましくありません。

しかし逆に考えると、会社員が定年退職した後でもチャンスがあるという事です。自分自身の人生を題材にすれば、古参の作詞家に書けない作品を生み出す事もできます。私も絶対に諦めたりしませんが、作詞家には運と不運も関係してくるのですね。

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ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。