トロピカル・タイム〜南太平洋航海記〜
ニュージーランドからヨットで南太平洋をクルージング。4年間の南太平洋航海記

アートを食料に買えて

2010/11/08

2003年 10月
よく分からない経済学はとりあえず忘れて、ニューカレドニアの町を楽しむことに切り替えました。

ただ、今回の訪問はニュージーランドに帰国する前の準備のためでもありました。食料や水なんかを手に入れて、出発に備えるのです。ただ、物価の高いこの国でのお買い物は予算わずかのわたしたちにはきつい物がありました。

そんな時に、ひとりのヨット仲間がわたしの耳元で囁いたのです。

「アートをお金にしてきなよ」と。

わたしは絵を描きますが、それをギャラリーに持ち込んで金にして来いというのです。「そんなに簡単にいかないよ〜」と思っているわたしのことを気にせず、彼は背中を押します。

いわれるままに、彼の出入りしているギャラリーに連れていかれました。そして、数枚の絵をギャラリーのオーナーに見せると、ぶつぶつとフランス語でなんかいったと思うと、レジからお金を出して手渡されました。

さらに「名前は?」と尋ねられ、英語の名字のままで返事すると「気に入らない」と(本名なのに・・・)。

「もっとオリエンタルな、エキゾチックな名前はないの?ペンネームは?」というので、旧姓を名乗ると「トレビア〜ン!」だか何だかいって、「それを使うよ」といわれてしまいました。

かくして、お金持ちの国からバヌアツの数カ月分の平均収入をせしめ、スーパーマーケットに買い出しに出かけたのでした。

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ライタープロフィール

山下なおこさん/女性/年齢:30代/ニュージーランド滞在(16年以上)、自然と素朴な料理が好きな女性です。