トロピカル・タイム〜南太平洋航海記〜
ニュージーランドからヨットで南太平洋をクルージング。4年間の南太平洋航海記

南太平洋に浮かぶフランス

2010/10/14

2003年 6月
たしか10〜14日かかったでしょうか?わたしたちの小さな小さなヨットは、なんと無事ニューカレドニアに到着したのです。

ニューカレドニアに到着する数日前から、気温がどんどん上昇し、毎日上着を一枚ずつ脱いでいったわたしたちでしたが、ニューカレドニアのヌメアの町は温かいほんわかした空気でわたしたちを迎え入れてくれました。ただ、ニューカレドニアでも一応冬の時期なので、現地の人は寒い寒いといっていましたが・・・。

町のすぐ近くにアンカーをおろして停泊したわたしたちの周りには、たくさんの外洋船が同じように停泊していました。ヨットは海の真ん中に浮かんでいるし、移動を重ねるために孤独といえば孤独です。けれど、初めて他国に来て、ほかの外洋船の仲間入りをしてみると、どうやらみんな同じような航路をたどっていることに気がつきました。行く先々で馴染みのヨットに会うのです。

ヌメアの町はとても洗練されたところでした。もちろん大都会というわけではなく、南国リゾート風ではありますが、フランスの香りがここかしこにするのです。

お洒落なカフェや建物、ギャラリー、ファッションセンスとスタイルのよいフランス系の人々。ニューカレドニアにはポリネシア系の現地人ももちろんいますが、ヌメアに関しては白人のほうが目につきました。

ヌメアでぜひとも立ち寄りたいのがマーケットです。マリーナの横に大きなマーケットが毎朝開かれ、野菜や果物、パンやケーキ、魚介類が豊富に売られているのです。はっきりいって、ほかの地域と比べると値段は安くはありません。けれど、とてもおもしろく、いろんなものが手に入ります。

また、ニューカレドニアはフランスだけあって、食べ物が恐ろしくおいしいのです。数年前パリとロンドンを旅した際に、食のレベルの違いに驚かされたのですが(パリが圧倒的に上!)、こんな南半球の小さな島でありながら、そのレベルは維持されているのです。

どこで何を買って食べてもはずれがない!スーパーマーケットの品もレベルが高い!「おいしく高級なものをちょっとずつ」というコンセプトなのか、量が少なく値段が高いのですが、これがすこぶる美味。フランスは日本と感覚が似ているのでしょうかね。

高校の時の美術の教師が、「美術が発展しているところは、食も発展している」とウンチクをたれていましたが、それはまんざら嘘ではないかもしれません。その教師によると、フランス、日本、中国が食の三大王国で、美術のレベルもそれに比例しているというのです。真偽はともかく、わたしはその意見にまったく同感です。

平和でフレンドリーで住みやすいニュージーランドですが、食に関してはちょっぴり苦笑い・・・。悪くはないのですよ、別に。だけど、大ざっぱ?肉と乳製品の比率が高い?なので、たまに「あ〜、おいしい物が食べたい」と思うことはあります。

また、わたしは今までに太ったフランス人を見たことがありません。近年、日本にも、やや肥満傾向が出てきているとはいっても、人口における肥満率は確か3〜4%程度とか。それにくらべ、欧米諸国の肥満度は高く、アメリカは肥満率31%と3人に1人にも匹敵するそうで、ニュージーランドも約21%と5人に1人は肥満なのだそうです。それに対し、フランスは5%程度という話。これは、やっぱり食が大きく関係しているのでしょう。

わたしはフランスびいきでも、ブランド好きでも何でもありませんが、センスのよさには感心させられるものがあります。そこらをあるいているご婦人たち、日本でいえばスーパー帰りの奥さん?のような人たちがモデルのように見えてしまうのです。

そんな一般の人たちですらお洒落なのですから、フランスがファッションの最先端になるのもまったく不思議ではないでしょう。

さて、ファッションとはまったく無縁のわたしたちは、舌も目も満足したので、ヌメアから離れ、孤島に向かうことにしました。

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ライタープロフィール

山下なおこさん/女性/年齢:30代/ニュージーランド滞在(16年以上)、自然と素朴な料理が好きな女性です。