トロピカル・タイム〜南太平洋航海記〜
ニュージーランドからヨットで南太平洋をクルージング。4年間の南太平洋航海記

またしても・・・

2010/09/14

その後、南の島に縁もなく、日々は過ぎて行きました。ところが、いきなり父が今度はシンガポールに行こうといい出したのです。「南の島が好きなんだよな」と、父は絶対にわたしが喜ぶと思ってのお誘いです。

小学生の時と違って、やや知識を得ているわたしは赤道に近づけば「美しい海と浜」があるらしいくらいの情報は持っていました。シンガポールはいまいちピンとこないけど、まあいってみるか・・・と参加したのです。

ところが、やはりそこにもカレンダーの景色はありませんでした。アジアの国はおもしろいですよ。だけど、「ここじゃない」のです。一体、いつまで裏切られ続けるのか・・・。このころには、あの景色はまるで「聖地」ように感じられるようになっていました。

それから数年後、5年もつき合った彼氏に運よくフラれ、「とにかく南に行こう!きっと南に幸せになれるあの場所があるはず」と南方向への飛行機に乗りました。思い立って2ヶ月後には南に向けて飛び、ニュージーランドという国に到着したのです。

ただ、ニュージーランドは南だけど、ちょっと南に来てしまい過ぎたようで、椰子の木どころか山の頂上には雪がつもっていました。けれど、さすがに、はたちを超えたわたしは、南の島熱もやや衰えて目の前の景色を楽しめる「大人」になっていました。くわえて、カレンダーの景色は「グラフィック」で実在しないのかも…なんて疑惑も芽生え(?)、「ここも悪くないか」と受け入れられる心が生まれていたのです。そして、あっさりと現地の人と結婚し、平和な毎日を過ごすようになっていました。

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ライタープロフィール

山下なおこさん/女性/年齢:30代/ニュージーランド滞在(16年以上)、自然と素朴な料理が好きな女性です。