トロピカル・タイム〜南太平洋航海記〜
ニュージーランドからヨットで南太平洋をクルージング。4年間の南太平洋航海記

ねえ、ここは一体どこなの?

2010/09/12

沖縄の海

沖縄の海

果てしなく続く青い海と白い浜、海と同じくらい青く晴れ渡った空には見上げるようなヤシの木。一体ここはどこだろう?

小学生時代のわたしは、カレンダーやポスターなんかに使われている南の島の写真を見てはため息をつきながら、ひたすら首をかしげていたものです。そして、どう見てもご近所の風景ではないそれらの景色に強い憧れを抱いていました。

そんなある日、お向かいに住む裕福な家庭の娘が親切に教えてくれたのです。「それは沖縄」彼女は何回か沖縄に実際に行って、その美しい景色を「見た」というのです。

その目撃証言を得て以来、わたしの心は完全に沖縄にとりつかれました。ことあるごとに「ああ、沖縄に行きたい」、「やっぱり沖縄だよね」、「一生に一度は行ってみたい」。

そんな娘を愛おしく思ったのか、ただうるさかったのか、両親はついに沖縄旅行に連れて行ってくれることになりました。若干小学6年生のことでした。

ところが・・・せっかくやってきた沖縄は、わたしのイメージとはかけ離れていました。本土よりは暖かいけど肌寒く、美しく青い海はどこにもありません。というのも、旅行に出たのがお正月だったからのようです。沖縄は日本、つまりお正月は冬なのです。

豚の耳はおいしかったけど、沖縄舞踊はおもしろかったけど、ハブとマングースの戦いはすごかったけど、パイナップル工場や黒砂糖の工場はいいにおいがしたけど、ひめゆりの塔や万座毛じゃなくて、わたしはカレンダーの景色が見たいの!

寒くて風が強く、ビーチに立っていることも辛い沖縄を後にしたわたしは、余計にカレンダーの景色の場所に行きたい欲求不満を募らせてしまうことになったのでした。

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ライタープロフィール

山下なおこさん/女性/年齢:30代/ニュージーランド滞在(16年以上)、自然と素朴な料理が好きな女性です。