トロピカル・タイム〜南太平洋航海記〜
ニュージーランドからヨットで南太平洋をクルージング。4年間の南太平洋航海記

どこで産もうかなあ

2010/09/29

2002年 12月
さて、ニュージーランドでは妊婦は医療機関と切り離されて考えられています。妊娠は病気扱いにはならないので、医者ではなく助産婦が面倒をみるようになっているのです。地域ごとに登録助産婦が数人いて、妊娠したことを伝えれば、出産までつきあってくれるのます。

さらには、ニュージーランドは妊娠と出産に関する費用がタダで、何から何まで政府が負担してくれます。それどころか、税務署から還付金なんかも出されて、出産の負担はまったくありません。親切な助産婦と経済援助を受け、余裕で子どもが産めるというわけです。

そんなニュージーランドは出生率が上昇傾向にあって、2008年くらいの統計だと、記憶が正しければ2.2人だったようです。国を支えるのに必要な出生率が2.1人だといわれている中、これを上回る人数が誕生しているのだそうです。

そういわれてみれば、わたしの周囲のママたちに関しては、のきなみ3〜4人のお子様連れが多いようです。ひとりっこはあまりみかけません。

余談ですが、誰がどうやって調べたのかは定かではないけれど、子供1人の母親は標準体型、2人なら小太り型、3人以上ならやせ型という統計結果があるようです。

1人くらいであれば、子どもと自分自身をきちんと管理できるから肥満にならないし、やつれることもない。2人になると、両方に振り回され、自分の時間も持てずにストレスから過食や不規則な食事になって太る。3人以上になると体力勝負で、食べても太っていられないし、やつれてしまうということらしいです。

さて、話を元に戻しましょう。わたしは妊娠発覚と同時に移動し始め、ヨット生活を開始してしまったために、まったく妊婦時代の恩恵を受けずに9カ月を過ごしてしまいました。助産婦のことも、臨月になってから知ったようなありさまでした。

あちこちと無計画にセーリングをしていたわたしたちですが、とりあえず出産場所を決めるべく、島めぐりをし、ついにお気に入りの島を見つけて、そこで助産婦さんを得ることができました。

その島には出産施設がなく、ほとんどが自宅で出産するスタイルでした。助産婦さんは「ヨットに行ってあげるわよん」と乗り気でしたが、わたしたちのヨットにはシャワーもトイレもないばかりか、水もろくにない有様でした。「どう考えても掃除が大変」ということで、助産婦さんの知っている施設に出向いて出産後、ヨットに連れて帰ってきました。

今となっては、ただただ幸運だったなと思うけれど、予定日より早まっていたらわたしはどこでどうやって出産していたのかと苦笑いです。無知というのは最強で、わたしも夫も「○月○日が予定日」といわれていた予定通り生まれると信じ込んで行動しているようなふしがありました。

ただ、世の中にはトイレで突然出産したり、飛行機の中で産んでいる人なんかもいるので、いざとなれば母親はきっと何とかできるのでしょう。太古の昔はきっとそうで、犬でも猫でも、あんなに大きなクジラや象でも自分ひとりで出産できているんだから!

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ライタープロフィール

山下なおこさん/女性/年齢:30代/ニュージーランド滞在(16年以上)、自然と素朴な料理が好きな女性です。