英会話講師体験記
「格安個人指導」「無駄なテキストについて」「個性に合わせた英語教育」「生徒との関係の作り方」英語講師の体験記を紹介します。

教師だけど教師にならない関係作り

2016/06/10

英語教室を営む上で、教師として絶対に避けたかったのが「教師と生徒」という壁を作ってしまう事でした。もちろんある程度のマナーは大切ですし、ふざけた授業をさけるために一線は引いていますが、私たちを学校の先生と同じ様な目で見て欲しくなかったというのがあります。教師でありながら「壁を作らない」というのが、私たちの課題でした。

そこで思い出したのが、小中学校の時にESLの先生としてイギリスから来ていたロバート先生のことでした。私たちは、彼をロバート先生と呼ぶのではなく、"ロブ"という愛称で呼んでいたのです。クラスの皆がロブの事を大好きで、先生というよりは仲の良い先輩のように振る舞ってくれ、言葉が通じなくても生徒と心で通じ合うことのできる、これこそが真の教師であると思いました。そんなロブの印象が残っていましたので、私たちもそんな風に教師でありながら教師でない立場になる事を目指しました。

まず、生徒には私たちの名前を呼び捨てで呼ばせました。そして私たちも、生徒の名前を呼ぶ時は、呼び捨てに徹底をしたのです。アメリカでは名前で呼び合うのが一般的ですし、何も違和感はありませんでした。その方が生徒さんとの壁がなくなり、最終的には、恋愛の相談やご両親には話せないような学校での出来事の相談を持ちかけてくれるようにまでなったのです。教師だけれども、その壁を一切取り払って、まるで自分の仲のいい先輩かのように私たちを見てくれ、色々な事を相談してくれるのは本当に嬉しいことでした。

「教師として尊敬されないのではないか」と聞かれると、そんなことはありませんでした。あくまでも、授業の進行の中心が教師にあれば大丈夫です。生徒に主導権を取られ、振り回されてしまっては、こちらが馬鹿にされてしまいます。実はそういった経験もあるのですが、外身は違っても先生としての軸が自分自身の中にしっかりとあれば、要は大丈夫だと思います。私は、日本舞踊の講師でもありましたので、そういった面での教育には両者ともに似つかわしいものがありました。

結果的に、全ての生徒さん達が、自由にのびのびと英語を学んでいくことができましたが、それでも教師と生徒の関係は難しいものだと思います。昔と今では随分教育方針も変わってきましたね。まだまだ私も勉強が必要だと感じています。

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ライタープロフィール

シャイロさん/女性/年齢:20代/カリフォルニア在住/日本・アメリカで舞踊家として活躍。伝統芸能伝承を目標に子供達のためのワークショップに努める傍ら、趣味でモデルやライター活動もしています。