ニュージーランドってどんな所?
ニュージーランド在住の山下さんが住んでいる視点でニュージーランドの魅力を紹介します。

奨学金の返済

2011/02/15

ニュージーランドの場合、親が貯金を貯めて子供を大学に通わせるというパターンはほとんどありません。奨学金を自分で借りて大学等に通うのがごく一般的です。この奨学金には返済義務のある学費の借り入れと、返済義務のない生活費の援助とがあります。

そして、収入を得たらそこから毎回借りた学費を返済していきます。ただ、日本でも未返済が結構あるとかいうニュースを目にしましたが、ニュージーランドも同じようにかなりの額が未返済な状況なのだそうです。何でも億単位だとか。

ニュージーランドの奨学金の場合、国内で収入があればそこから自動的に引かれるけれど、無職であれば請求がくることはありません。そして海外で働いている場合も返済請求はないのです。そのために、大学卒業と同時に海外に出てしまう人も多いのです。

さらに、最近では高齢の学生が増えている現象があるらしく、いわゆる高校を卒業したてという年齢よりも30代以上、そして定年後だと見られる年代の人たちがかなり在籍しているようです。

最近テレビのある番組で、73歳のおばあちゃんが大学をがんばって卒業し、学位をとったと誇らしげに話しているのを映していました。「この国ではいくつになっても勉強できる機会があるのよ。すばらしい」と感慨深げ。そのおばあちゃんにインタビュアーはさりげなく「で、借りた奨学金は返済できるの?」と質問すると、「オウ?」とか何とか、おばあちゃんは返答に困っていました。

文部省のような教育をつかさどる政府担当者の人は、「老若男女、国籍を問わず、学ぶ機会を与えることは大切。学力の向上が国の発展につながる」としながらも、返済される見込みのない奨学金には頭を抱えているようです。

ある政治家の人が、「奨学金は今後の国を支える人々のための支援として貸し出すもの。卒業後、返済完了までの期間、生存し働ける人にだけ奨学金を出すようにしたらどうか」と提案していましたが、却下されたようです。理由は、年をとっても学業を続ける姿が子供や若者によい影響を与えるということだとか。なるほどね。

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ライタープロフィール

山下なおこさん/女性/年齢:30代/ニュージーランド滞在(16年以上)、自然と素朴な料理が好きな女性です。