シャーロック・ホームズをめぐる旅
ホームズがいた街ってどんなところ?ホームズについての面白い話を紹介します。

アイリーネ・アドラーをさがして

2010/09/13

ホームズのシリーズ中、ほとんど唯一のヒロインともいうべき、「ボヘミアの醜聞」の「あのひと」こと、アイリーネ(アイリーン、もしくはイレーネとも)・アドラー。彼女の住まいは、「セント・ジョンズ・ウッドのサーペンタイン通りにあるブライオニ荘」でした。

セント・ジョンズ・ウッドは、リージェンツ・パーク・サイドの静かな住宅街といった雰囲気です。地下鉄ジュビリー・ラインでベーカー・ストリートの一つ先。歩いても大した距離ではありません。顔見知りに「こんばんは(おやすみなさい)」のごあいさつをする、なんてこともあるわけですね。

ただし、「サーペンタイン」の名のつく通りは見当たりません。ドイルは、ハイド・パークの「サーペンタイン=蛇行した」池と同様、曲がりくねった路をイメージしたのかな。ただし、サーペンタインには――なにしろアダムとイブをだましたヘビなので――「ずるい」とか「陰険な」という意味もあって、でもそれは、アイリーネのことではないでしょう。

ドイルが「ブライオニ荘」のモデルにした家はどれか――をさがすのもシャーロキアンの楽しみのようですが、私は次に急ぎます。アイリーネが結婚式を挙げた「エッジウェア通りのセント・モニカ教会」。これも、どうやら架空の教会のようです。エッジウェア・ロードにはいくつか教会があるので、モデルはあるのかもしれませんが。

「ボヘミアの醜聞」で気になっていたことがあります。それは、「大公」が宿をとっていた「ランガム・ホテル」のこと。手近にあったガイドブックには、どれもこのホテルの名はありません。「大公なら、おしのびでも、クラリッジスに泊まるのでは? もしかして、これも架空のホテルなのかな」と思っていたのですが、「フランシス・カーファックス姫の失踪」にも、このホテルは登場するし……。

やっとわかりました。以前のガイドブックには「BBC本部」とされていたところ。それが数年前に、また「ザ・ランガム」としてリニューアル・オープンしたのでした。1856年開業なので、ホームズの時代には、比較的新しいホテルだったはず。もちろん、5つ星です。

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ライタープロフィール

オオタクーミンさん/女性/東京在住、もしかして「鉄子」と「歴女」のさきがけだったのかも知れない、ぎりぎりアラフォー世代のライターです。小さいころから、愛読書の1つが時刻表で、プライベートの国内旅行には、たとえ北海道を旅するのにも、飛行機を使うなんてことは、はじめから考えない、まったく日航を応援してない日本人です。