シャーロック・ホームズをめぐる旅
ホームズがいた街ってどんなところ?ホームズについての面白い話を紹介します。

ベーカー・ストリート221Bに手紙を出すと

2010/08/26

ロンドンの「番地」で、広く知られているのは、ベーカー街221番地Bと、ダウニング街10番地。もちろん、「ダウニング――」の住人は英国首相です。

いまだにベーカー・ストリート221には、「ホームズさま、どうか事件を解決してください」といった依頼が、世界中から舞い込むとか。以前は、律儀に221の現在の住人である銀行が、「ホームズ氏は現在、出張中につき……」の返事を送っていたそうですが、業務煩多のためにとりやめになったと聞きます。

それなら、ホームズの「現役中」は、さぞ221Bは大勢の依頼人やら見物人やらが押しかけて、大騒ぎだったのではないか。そのころの住人は、えらい迷惑だったんじゃないのかと思います。いえいえ、コナン・ドイルがホームズものを執筆した、失礼、シャーロック・ホームズの活躍をワトソン博士が記録していた時代、ベーカー・ストリートには「85番」までしかなく、「221B」は架空の番地だったのです。

1990年代、はじめてロンドンに行ったころは、ベーカー・ストリートでホームズゆかりの場所といえば、地下鉄のベーカー・ストリート駅のタイル(ホームズの横顔のシルエットを模したタイルを組み合わせて、大きなシルエットにしたもの)と、「シャーロック・ホームズ・ホテル」(ホームズのストーリーとは関わりはない)ぐらいしかありませんでした。「日本だったら、ホームズ饅頭とか、ホームズ羊羹とか、ホームズ手拭いとかのグッズを売る店がならぶはずだよね」と笑ったものですが。

しかし2005年に訪ねてみると、ベーカー・ストリートも、日本の「大河ドラマゆかりの地」にならったわけでもないでしょうが、ホームズの銅像もホームズ博物館もホームズ・グッズショップも、「ミセス・ハドソン(ホームズの下宿の女主人)の店」と称するレストランもありました(ホームズ饅頭や羊羹はなかったけれど)。

ホームズ博物館は、「本来の221Bがあるべきところに建てた」と主張していますが、実際の所在地は239番地。しかし、ここは「221B」と称する権利を買った(どこで売ってるのか知りませんが)らしく、現在、ホームズ宛ての依頼状はここに届けられているそうです。試しに「ホームズさま、どうぞお力をお貸しください」の手紙を出してみましょうか。

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ライタープロフィール

オオタクーミンさん/女性/東京在住、もしかして「鉄子」と「歴女」のさきがけだったのかも知れない、ぎりぎりアラフォー世代のライターです。小さいころから、愛読書の1つが時刻表で、プライベートの国内旅行には、たとえ北海道を旅するのにも、飛行機を使うなんてことは、はじめから考えない、まったく日航を応援してない日本人です。