- シャーロック・ホームズをめぐる旅
- ホームズがいた街ってどんなところ?ホームズについての面白い話を紹介します。
ノーザンバランド・ストリートの「パブ・シャーロック・ホームズ」
2010/08/30
「シャーロック・ホームズ」の名を冠したパブは、ベーカー・ストリートではなく、ノーザンバランド・ストリートにあります。『バスカヴィル家の犬』の中で、ヘンリー・バスカヴィル卿が泊まったホテル「ノーザンバランド・ホテル」の跡地に建っている――というふれこみです(異説もあります)。
そういえば、ヘンリー卿はこのホテルで靴を盗まれて……という話は、ネタバレになりかねないので、ここでやめておきましょう。パブの造りは、もちろんホームズの活躍した時代、ヴィクトリア調で、パイプをくわえて書類をながめているホームズの横顔が看板。窓ガラスもホームズやドイルの肖像のすりガラスで、「シャーロック・ホームズ・エール」がメニューにあって、ごていねいにもバスカヴィル家の犬もいて?……と、「いかにも」なふんいきです。
でも、トラファルガー・スクウェアなどのランドマークに近く、外国人のイチゲンさんも多いパブなので、シャーロキアンでない女性ひとりでも安心して入れる店です(ぼったくられる心配もありません)。2階がレストランになっていて、ここに「ホームズの部屋」を再現しているそうなのですが、「レストラン」に敬遠して、残念ながら未見です。
すぐ近くのノーザンバランド・アベニューには、ホームズがたびたび出かけた「トルコ風呂」の跡地といわれるバークレー銀行もあります。
そういえば、ノーザンバランド・ストリートにノーザンバランド・アベニューにと、ロンドンの「道」の名前には往生します。日本語訳では、たいていストリートは「街」、アベニューは「通り」といった具合ですが。「ノーザンバランド」は地名でもあり、その名の公爵(姓はスミッソン。スミソニアン研究所を設立したJ・スミッソンは初代公爵のご落胤)もいて、ゆかりの地には、ストリート以外にもスクウェアだのロードだのパークだの……。歴史を大事にしてるのでしょう(というより、変える理由もないのでしょう)。
「霞町」が「西麻布〇丁目」になったり、「木挽町」が「銀座〇丁目」になってしまった東京よりは、歴史や文学のゆかりの地を訪ねる旅人にはずっとありがたいのですが。
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オオタクーミンさん/女性/東京在住、もしかして「鉄子」と「歴女」のさきがけだったのかも知れない、ぎりぎりアラフォー世代のライターです。小さいころから、愛読書の1つが時刻表で、プライベートの国内旅行には、たとえ北海道を旅するのにも、飛行機を使うなんてことは、はじめから考えない、まったく日航を応援してない日本人です。