初めての作詞入門 上級編
「エコー効果」「心理描写を活かす」「逆表現法」「間の為の凝縮」「目線と歌詞の関係」など初めての作詞入門 上級編を紹介します。

歌詞の推敲方法

2013/04/02

歌詞や作曲には、其々作家特有の推敲方法があります。自分で書いた歌詞を覚えにくい作品は、歌手も聴衆も覚えにくいと言う事です。

歌詞のチェック方法作品をチェックする時は、他の誰よりも厳しい目線でチェックしましょう。自分の作品には愛着があります、しかし第三者の冷静な目でチェックする事です。

私が作った自己採点シートです。

1、タイトルが新鮮で色褪せていないか
2、タイトルと歌詞の内容が一致しているか
3、歌詞の流れがスムーズか
4、中高学生でも理解できる優しい言葉を使っているか
5、テーマは時代に合っているか
6、テーマは時代の半歩先を見据えているか
7、大衆性と共感性はあるか
8、状況設定と構成は纏まっているか
9、作詞家としてのオリジナル性を持っているか
10、詩情を感じさせる作品か
11、地域性を持っているか
12、歌詞はリズム感を持っているか
13、作曲者と歌手の対場に立っているか
14、推敲は充分行ったか
15、商品化しやすいか

各項目ごとに A B C Dのランクを付けます。
C Dの項目は推敲します。
C Dが全体に多く、推敲後も変わらない評価で 有ればゴミ箱に捨ててしまいます。

私でもA評価は滅多にありませんが、B評価以下にならないよう推敲を重ねます。評価の低い作品は、勇気を持って捨てる覚悟も必要です。常に最新作品が一番ベストであるように努力しましょう。私はプロの歌手や作曲家から作詞の依頼がある時に、特別な推敲方法をとります。書き上げた歌詞を3日間寝かせて置くのです。3日たったら、一切の資料や原稿を見ずに思い出しながら書いてみます。途中で記憶が消えて思い出せない部分は、印象が弱く聴衆に届かない部分として推敲します。各番手の中で歌詞を入れ替えて書いていた場合は、流れが悪く歌詞の繋がりが悪い部分です。もう一度全体の構成を推敲する必要があります。

昔の話ですが、プロの作詞家を目指してコンテストでも上位に入選する方と交友がありました。月に1回四国の高知から九州の福岡まで通ってくれました。大手出版会社より人気歌手のコンペを依頼され、この作詞家に自信作1作品を持ってくるよう伝えました。作詞家は、私の自信作ですと原稿を手渡しましたが、私は封筒を開かずに真っ白な原稿用紙を渡したのです。

「この封筒を開けずに、原稿も見ずに、私の目の前でもう一度書いて下さい」と言いました。作詞家は、ペンを取り出し書き始めましたが、直ぐにペンが止まってしまいました。

「自信作なのに、作詞者自身が思い出せない歌詞をプロのコンペに出せませんよね」と言うと、作詞家は大粒の涙をいっぱい溜めて、天井を眺めています。「私自身の甘さに気がつきました、しばらく作詞はしません」と言い四国へ帰りました。

今思うと、作詞家に悪い事をしたのかなあ・・とも感じています。この作詞家は二度とコンテストに顔を出す事もなく、連絡も途絶えてしまったのです。私が悩んでいた時に友人が、「作詞家は何万人、何十万人も必要ないんだよ」プ「ロで飯が食えるのは、全国で100人もいないと思うよ」と言ってくれました。アマチュアの趣味として楽しむ詞と、飯を食うプロの詞は違うと言う事ですね。私は一番好きな音楽を職業にしてしまいましたが、娘には趣味として楽しんで貰いたいです♪


森田一夫音楽クリニック
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ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。