初めての作詞入門 上級編
「エコー効果」「心理描写を活かす」「逆表現法」「間の為の凝縮」「目線と歌詞の関係」など初めての作詞入門 上級編を紹介します。

目線と歌詞の関係

2013/03/28

ステージで歌っている歌手を見ると、目線が遠くを見たり近くを見たりしています。歌唱法で目線の使い方があるように、歌詞にも目線を活かした作詞法があるのです。

「目は口ほどにものを言う」といいます。目線は、感情や情景、心情、行動、仕草を表現する事ができます。日舞では、背中で表現しなさい!目で演技しなさい!といわれます。私が歌手にレッスンする時も、目が死んでる!目が嘘ついてる!目に感情が無い!と注意します。歌手の目を見れば、集中力が無くなった、気持ちが入ってない、気力が感じられない等判ります。しかし、歌手でも表現し難い歌詞は、目線を活用していない場合が多いのです。


遥かかなたの水平線に 見えるはあなたの漁火か
月の真下で網を引く、あなたの船を捜してる
私の思いが届くなら、海鳴り千里越えていく
おーい あんた聞こえるか、私の呼ぶ声聞こえるか

敢えて目線を遠くした歌詞を即興で書いていましたが、意識すると難しいです。上記の歌詞は初めから終わりまで、ずっと目線が遠くにあるのが判るでしょうか?歌手は、ずっと遠くを見ている目線で歌わなければなりません。

遥かかなたの水平線に 見えるはあなたの漁火か
月よ私を照らしておくれ 照らしておくれ
お守りぎゅっと握り締め あなたの無事を祈ります
海鳴り千里飛んでいく 衣を下さいお月様

上記に変えてみましたが、目線の動きを感じるでしょうか?
「遥かかなたの水平線に 見えるはあなたの漁火か」は目線が遠く、
「月よ私を照らしておくれ 照らしておくれ」で少しずつ近くなってきます。
「お守りぎゅっと握り締め あなたの無事を祈ります」は自分を見ています。
「海鳴り千里飛んでいく 衣を下さいお月様」で次第に目線が遠ざかります。
この目線の違いだけでも、歌手は歌詞を演じる事ができるのです。歌手は時々客席を見ながら歌っている場合があります。客席から見ると「あ!私の方を見て、私に歌いかけている」と感じるのです。

しかし、歌手は客席の広い範囲を見ているのではなく、自分の歌に聞き入っている熱烈なファンを見つけ出し、その人に向かって歌っているのです。時には主人公の相手として捉え、時には心情を訴えかける相手として歌いかけるのです。目線を使うのと流し目は違う意味です、流し目を使う時は注意しましょう♪


森田一夫音楽クリニック
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ライタープロフィール

Jack天野/男性/年齢:50代/セブ島在住/13歳より横須賀の将校クラブでドラマーデビュー、20歳でハモンドオルガン奏者、その後ピアノの弾き語りとしてファイアットリージェンシーと契約し東南アジア各国のホテルロービーピアニストを務めました。ちょっとマイナーな部分も含めて、楽しい記事を書きたいと思います。宜しくお願いします。