英語塾講師の体験記
英語塾講師として働いた経験を紹介します。

門の前で整列するわたしたち

2012/06/03

テレビを観ていると、私立中学入試のニュースをやっていました。校門に並ぶ塾関係者の姿。中にはハチマキや幕などを用意して、子どもたちに激や励ましの声を送る。例年観る光景です。

おそらく、何もそこまでしなくてもと思う方も多いでしょう。その姿はある種異様で、なにかわざとらしさや、低俗さや、近視眼的なものや、とにかくなんかしらの違和感を覚える人は少なくないと思います。同じ業界で働くわたしにしても、実は大きな違和感をもっています。過保護すぎるというか、その一方でプレッシャーをかけすぎているというか、あまりうまくは言えませんが、「もっとクールにいこうよ」というのが本音です。

そんな話を、前年に中学受験をした娘さんを持つ知り合いとしていたんです。とても教育熱心な方で、娘さんの進学に関していろいろと気を配っていらっしゃいました。近所のバーで知り合い、その日もバーで隣合いなり話をしていました。そしてその方が言うわけです。

「親の立場からするとうれしかった。娘も感謝してた」と。

なるほどそういうものなのかなぁ、と思いました。その方がおっしゃるには、最後の最後まで自分の子どものために心を砕いてくれたという姿勢がうれしかったらしい。親の心とはそういうものでしょうか。最終的には成績を上げただの、志望校に合格しただの、そういったところでしか感謝も評価もされないわけですが、それでも「あなたの子どものためにここまでやりました」という姿勢を保護者に見せなさい、とは昔上司から言われたこともあります。うがった見方をすれば、合格させられなかったときの布石として、または塾のイメージアップのためといった塾サイドの思惑があるのでしょう。ただ、一方でその知り合いの方の話を聞けば、営業ということを無視しても、人を相手にする以上、やはり心がけないといけないことなのだろうとも思いました。

だからといって、わたしもやるか、つまり校門の前に立って教え子に声をかけるかといえば、やっぱやんないかなぁ。対象が小学生ではなく、中学生というのもあるのでしょうか。何も校門に立つことだけが誠意の見せ方でもないでしょう。とにもかくにも、日々精進あるのみ。

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ライタープロフィール

横浜ホームズさん/男性/年齢:30代/横浜在住、福岡から横浜に来てはや10数年。もはや博多っ子と浜っ子の境を見失う30男。美しいものが好き。だけど醜いものはもっと好き。人生、味がある方がいいよね。