トロピカル・タイム〜南太平洋航海記〜
ニュージーランドからヨットで南太平洋をクルージング。4年間の南太平洋航海記

ついに日本へ

2010/12/08

2005年12月〜2006年1月
どう考えても石垣島へは到着しそうもないので、地図上で一番グアムから近い日本の領土である小笠原諸島に帆を向けました。まだ、10日ほどかかる行程ですが、日本に程近いということでかなり気分は楽でした。裏庭にいるような感じでしょうか?

ただ、この辺りは南太平洋と違って船が多く、ボーっとしていられません。めったにぶつかることはありませんが、今までと違ってやや気を引き締めていないといけないのです。また、空を見上げれば米軍のセスナも飛んでいます。何だか「都会」の海域に入ったと感じさせられます。

ただ、そんなに交通量が増えた海でさえも遭難すれば何日も見つからないのですから、海は本当に広いものです。最近はテクノロジーの進化から、水温の違いで遭難者の位置を確定できるようになったそうですが、それでもすぐにとはいきません。

ヨット仲間の友人が船が浸水し救命ボートで海に投げ出されたのですが、大体の位置が確定してから実際に救助されるまで丸2日もかかったそうです。地球は広い!

そして、ついに日本の領土に到着しました。到着した父島はまったく予備知識がなかったのですが沖縄とよく似た空気の流れる南国でした。

本土では見られない高い椰子の木があり、珊瑚の海には熱帯魚がたくさん泳いでいました。もちろん南の島よりも寒いですが、本土に比べればはるかに温かく、陽気な気候に包まれていました。

父島はとても複雑な歴史を持っており、もともと日本の領土だったけれど一時アメリカ領土になり、日本人がすべて退去した時期があったということでした。その後日本に返還されましたが、そのために帰化したアメリカ人の方も多く住んでおられました。

本土にずっと住んでいたわたしには知らないことが結構あります。日本も住むところによって、ずいぶん違うものです。若いころには特に興味を持たなかったけれど、一度日本の歴史や風土についてじっくり研究してみるのもおもしろいかもと思い始めました。

さて、ウミガメやサメが産卵にやってくるなど、とても自然の豊かなその島に感動したわたしたちはここでヨットを降り航海を終了することにしたのです。

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ライタープロフィール

山下なおこさん/女性/年齢:30代/ニュージーランド滞在(16年以上)、自然と素朴な料理が好きな女性です。